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原著
文献概要
Ⅰ.はじめに
外耳道に発生する良性腫瘍は稀であるが種類は多く,その診断はしばしば苦慮する。内田ら1)によると,外耳道良性腫瘍のなかでは色素性母斑(37.5%)が最も多いと報告されており,次いで骨腫(23.1%),耳垢腺腫(18.3%)が高頻度であり,多形腺腫は2.9%と少ない。そのため,症例報告は散見されるが,外耳道多形腺腫の診断,成因や治療法に関してのまとまった報告はない。今回われわれは術前に診断が困難であった外耳道多形腺腫の1例を経験したので症例を報告するとともに,過去のわが国における外耳道多形腺腫例を参照し,その診療方針に関して考察したので報告する。
外耳道に発生する良性腫瘍は稀であるが種類は多く,その診断はしばしば苦慮する。内田ら1)によると,外耳道良性腫瘍のなかでは色素性母斑(37.5%)が最も多いと報告されており,次いで骨腫(23.1%),耳垢腺腫(18.3%)が高頻度であり,多形腺腫は2.9%と少ない。そのため,症例報告は散見されるが,外耳道多形腺腫の診断,成因や治療法に関してのまとまった報告はない。今回われわれは術前に診断が困難であった外耳道多形腺腫の1例を経験したので症例を報告するとともに,過去のわが国における外耳道多形腺腫例を参照し,その診療方針に関して考察したので報告する。
参考文献
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