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シリーズ 専門医試験への対応
―2.めまい・平衡障害を主訴とする疾患―2)ENGの読み方
著者: 岡田智幸1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.45 - P.59
文献購入ページに移動Ⅰ はじめに
最近,めまい・平衡障害の診断には,さも画像診断が優先されるという感がある。しかしながら,現実問題として大脳灰白質の慢性虚血性変化は,めまいの発現に影響しないという報告1)がある。一方,急性めまいの代表である脳梗塞巣の完成には,3~6時間を要することが定説となっており,ENGを代表とする神経耳科学的検査が,その早期診断に有用である旨の報告が多数存在する2)。
めまい・平衡障害の診断の最終ゴールは,中枢性か末しょう性か否か,障害側が左右のいずれかあるいは両側性か,そして局在診断である。画像診断の適応は,中枢性めまいには,第Ⅷ脳神経症状以外の症状があるというように,詳細な神経学・神経耳科学的所見をとって,病巣局在の可能性があってはじめて成立すると思われる1)。
最近,めまい・平衡障害の診断には,さも画像診断が優先されるという感がある。しかしながら,現実問題として大脳灰白質の慢性虚血性変化は,めまいの発現に影響しないという報告1)がある。一方,急性めまいの代表である脳梗塞巣の完成には,3~6時間を要することが定説となっており,ENGを代表とする神経耳科学的検査が,その早期診断に有用である旨の報告が多数存在する2)。
めまい・平衡障害の診断の最終ゴールは,中枢性か末しょう性か否か,障害側が左右のいずれかあるいは両側性か,そして局在診断である。画像診断の適応は,中枢性めまいには,第Ⅷ脳神経症状以外の症状があるというように,詳細な神経学・神経耳科学的所見をとって,病巣局在の可能性があってはじめて成立すると思われる1)。
参考文献
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