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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科81巻12号

2009年11月発行

特集 耳鼻咽喉科専門研修をはじめる医師へ―外来手技とインシデント・アクシデント

3.穿刺吸引細胞診,頸部リンパ節生検

著者: 古川まどか1 古川政樹2

所属機関: 1神奈川県立がんセンター頭頸部外科 2横浜市立大学附属市民総合医療センター医療情報部

ページ範囲:P.827 - P.835

文献概要

Ⅰ.はじめに

 頸部腫瘤性疾患の診断は,問診,触診,画像診断などの非観血的な方法から始める。内視鏡や超音波診断,PET-CTといった画像診断をはじめとするさまざまな診断技術の普及により,頭頸部領域の原発巣診断や,頸部腫瘤性疾患の診断推定は以前より容易となった。しかし,これら非観血的な方法で診断がつかない場合や推定される診断を最終的に確定するためには,診断時期を失しないように穿刺吸引細胞診の速やかな実施が必要になる1~3)。さらに,リンパ節疾患のうち,穿刺吸引細胞診でもどうしても確定診断に至らない例や,悪性リンパ腫のように,確定診断をつけるために免疫組織学的検査を含めた組織診断が必須の疾患が疑われる場合には頸部リンパ節生検が必要となる4)

 一方,穿刺吸引細胞診や頸部リンパ節生検は,インシデント・アクシデントの危険性を常に伴う侵襲的検査なので,いきなりこれらの手技を施行することは避けるべきで,適応は厳密にしなければならない。外来で穿刺吸引細胞診やリンパ節生検を施行する際は,患者が不安なく検査を受け安全に帰宅できること,可能な限り1回の検査で,確実な情報を得られるようにすることが求められる。

参考文献

1)古川政樹:頸部腫瘤の超音波診断とFNA手技.日耳鼻:110:606-610,2007
2)古川まどか・他:癌を見落とさないために―頭頸部腫瘤の超音波検査.JOHNS 24:574-579,2008
3)古川まどか:〔専門講座〕エコーガイド下生検.日耳鼻 112:128-133,2009
4)古川まどか・他:悪性リンパ腫診断・治療マニュアル.治療前確定診断について.MB ENT 41:9-18,2004
5)Supriya M, et al:Seeding of tumor cells after fine needle aspiration cytology in benign parotid tumor:a case report and literature review. Laryngoscope 118:263-265, 2008
6)山田弘之:吸引細胞診の有用性と問題点.耳鼻臨床 101:884-885,2008
7)甲状腺外科研究会(編):甲状腺診断のための細胞診,報告様式.甲状腺癌取り扱い規約(第6版),金原出版,東京,2005,p53
8)廣川満良・他:唾液腺細胞診新報告様式の提案.J Jpn Soc Clin Cytol 46:160-163,2007
9)古川まどか・他:耳下腺腫瘍の超音波診断および超音波ガイド下穿刺吸引細胞診.口咽科 22:73-78,2009
10)古川まどか・他:頸部神経鞘腫の取り扱い.頭頸部外科 17:105-112,2007
11)鎌田信悦:耳鼻咽喉科における外来手術―頭頸部腫瘤の生検.JOHNS 10:1459-1464,2008
12)田山二郎:頸部疾患の検査と臨床(病理組織検査).CLIENT 21,16気管・食道・頸部,野村恭也・他(編).中山書店,東京,2001,pp266-267

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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