文献詳細
シリーズ 専門医試験への対応
文献概要
Ⅰ はじめに
医療事故の発生は現場の医師にとっては厳しい情勢であるとともに,過失の有無にかかわらず医療訴訟となる場合には大きな負担となる。医療事故の原因は,active failures(直接的な失敗)すなわち知識不足や技術の未熟性,医療機器や医療材料の欠陥,規則違反,ヒューマンエラーとlatent failures(隠れた欠陥)すなわちシステムの欠陥により起こると考えられている。
要因となるものの種類を問わず,医療事故の起こる確率をゼロにすることは難しい。あくまで理論値であるが,医療事故・医療訴訟の起こる割合は1,000人の医療従事者が勤務する病院では年に20回程度起こると考えられている。さらに医療訴訟の頻度は500床の急性期地域中核的病院では年に1,2件の医療訴訟を抱えているのが平均であると考えられている。
医師にとって重要なのは真剣に医療に取り組むことであって,個々の医師が司法の詳細に通じる必要はない。しかし,医療訴訟の内容に触れる機会がある場合,ときおり医学的解釈と司法的解釈との間に大きな隔たり・隔絶を感じることがある。このような解釈論については本稿で論ずるつもりはないが,司法的解釈を理解するうえでの知識と情報について知っておくことは耳鼻咽喉科専門医,言い換えれば外科系の専門医として必要であろう。筆者は法律の専門家ではないため,事例についての司法的解釈や訴訟手続きの詳細などは専門書に譲るとして,ここでは医療訴訟の現状といくつかの専門医として知っておくべき点について解説する。
医療事故の発生は現場の医師にとっては厳しい情勢であるとともに,過失の有無にかかわらず医療訴訟となる場合には大きな負担となる。医療事故の原因は,active failures(直接的な失敗)すなわち知識不足や技術の未熟性,医療機器や医療材料の欠陥,規則違反,ヒューマンエラーとlatent failures(隠れた欠陥)すなわちシステムの欠陥により起こると考えられている。
要因となるものの種類を問わず,医療事故の起こる確率をゼロにすることは難しい。あくまで理論値であるが,医療事故・医療訴訟の起こる割合は1,000人の医療従事者が勤務する病院では年に20回程度起こると考えられている。さらに医療訴訟の頻度は500床の急性期地域中核的病院では年に1,2件の医療訴訟を抱えているのが平均であると考えられている。
医師にとって重要なのは真剣に医療に取り組むことであって,個々の医師が司法の詳細に通じる必要はない。しかし,医療訴訟の内容に触れる機会がある場合,ときおり医学的解釈と司法的解釈との間に大きな隔たり・隔絶を感じることがある。このような解釈論については本稿で論ずるつもりはないが,司法的解釈を理解するうえでの知識と情報について知っておくことは耳鼻咽喉科専門医,言い換えれば外科系の専門医として必要であろう。筆者は法律の専門家ではないため,事例についての司法的解釈や訴訟手続きの詳細などは専門書に譲るとして,ここでは医療訴訟の現状といくつかの専門医として知っておくべき点について解説する。
参考文献
1)最高裁判所ホームページ:http://www.courts.go.jp/
2)厚生労働省ホームページ:http://www.mhlw.go.jp/
3)畔柳達雄・他(編):わかりやすい医療裁判処方箋.判例タイムズ社,東京,2004
4)柿田 章・他(編):医療事故・医療訴訟―防止と対策ガイド.日総研出版,名古屋,1999
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