文献詳細
原著
顎下腺腫瘍における細胞診の信頼性と術式選択
著者: 中沢裕子1 中溝宗永1 横島一彦1 粉川隆行1 酒主敦子1 稲井俊太1 島田健一1 八木聰明1
所属機関: 1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.103 - P.107
文献概要
顎下腺腫瘍は耳下腺腫瘍よりも発生頻度は低いが,全体に占める悪性腫瘍の割合が高く,その予後も悪いとされている1)。したがって,顎下腺腫瘍における術前の良・悪性の診断には注意を要すると考えられる。
当科では,顎下腺腫瘍の手術に際して穿刺吸引細胞診(以下,FNAと略す)で良性との結果が得られても,病歴や触診所見,画像診断などで悪性腫瘍が否定できない場合には,顎下部郭清術や所属リンパ節摘出術を行ってきた。しかし顎下部の手術では,顔面神経下顎辺縁枝の麻痺の可能性や整容面での問題から,侵襲の大きい顎下部郭清術を避けたいところである。
そこで,今回は当院で一次治療を行った顎下腺腫瘍症例の術前FNAに着目し,その結果と最終病理診断の関連性,術式や術後合併症について検討することで術式の選択について考察した。
参考文献
掲載誌情報