文献詳細
特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅰ.再建材料とその採取法
文献概要
『Ⅰ.再建材料とその採取法』総論
頭頸部癌の切除に伴って下顎骨や上顎骨などの骨性支持組織が切除される場合がある。骨性支持組織が大きく切除された場合,顔面の形態が損なわれ整容的な問題を生じるばかりでなく,咀嚼・嚥下・構音などの機能的な障害を生じることとなる。このような骨欠損に対して血管柄付き骨皮弁による再建を行うことにより,整容的・機能的障害による患者のQOLの低下を防止することが可能となる。上下顎の骨再建においては,過去には血流のない遊離骨移植も行われていたが,移植骨の生着が得られにくいことや術後の移植骨の吸収が多いことから,現在では血管柄付き骨移植による再建が第一選択となっている。最も一般的な移植骨の採取部位として腓骨,肩甲骨,腸骨が挙げられる。それぞれの骨皮弁は,得られる骨の大きさ,皮島部分の大きさや血流などの点でさまざまな特徴を有している。実際の手術に当たっては,骨欠損の状態ばかりでなく,軟部組織欠損の程度,合併症の有無,患者の希望,全身状態などを総合的に判断して皮弁の選択を行う必要がある。
以下にそれぞれの皮弁について,その概要と挙上方法について肩甲骨皮弁と腸骨皮弁は筆者が腓骨皮弁については,竹野研二らが述べる。
頭頸部癌の切除に伴って下顎骨や上顎骨などの骨性支持組織が切除される場合がある。骨性支持組織が大きく切除された場合,顔面の形態が損なわれ整容的な問題を生じるばかりでなく,咀嚼・嚥下・構音などの機能的な障害を生じることとなる。このような骨欠損に対して血管柄付き骨皮弁による再建を行うことにより,整容的・機能的障害による患者のQOLの低下を防止することが可能となる。上下顎の骨再建においては,過去には血流のない遊離骨移植も行われていたが,移植骨の生着が得られにくいことや術後の移植骨の吸収が多いことから,現在では血管柄付き骨移植による再建が第一選択となっている。最も一般的な移植骨の採取部位として腓骨,肩甲骨,腸骨が挙げられる。それぞれの骨皮弁は,得られる骨の大きさ,皮島部分の大きさや血流などの点でさまざまな特徴を有している。実際の手術に当たっては,骨欠損の状態ばかりでなく,軟部組織欠損の程度,合併症の有無,患者の希望,全身状態などを総合的に判断して皮弁の選択を行う必要がある。
以下にそれぞれの皮弁について,その概要と挙上方法について肩甲骨皮弁と腸骨皮弁は筆者が腓骨皮弁については,竹野研二らが述べる。
参考文献
1)Gilbert A, et al:The free scapular flap. Plast Reconstr Surg 69:601-604, 1982
2)中塚貴志:血管柄付き遊離肩甲骨皮弁移植による下顎の再建.形成外科ADVANCEシリーズⅠ-1,頭頸部再建外科最近の進歩,波利井清紀(編著).克誠堂出版,東京,1993,pp117-122
3)Swartz WM, et al:Osteocutaneous scapular flap for mandibular reconstruction. Plast Reconstr Surg 77:530-545, 1986
4)Cormack GC, et al:The Arterital Anatomy of Skin Flaps, 2nd ed. Churchil Livingstone, New York, 1994, pp288-290
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