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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科81巻5号

2009年04月発行

文献概要

特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで Ⅰ.再建材料とその採取法

5.その他の再建材料―遊離空腸・下顎プレート

著者: 浅井昌大1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院頭頸科

ページ範囲:P.59 - P.64

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Ⅰ 遊離空腸

1.はじめに

 頭頸部癌の広範囲切除後の再建には,その使用目的に応じて欠損部を充塡できるボリュームのある厚い腹直筋皮弁,薄い前腕皮弁,中間的な外側大腿皮弁などが遊離皮弁として,また硬性再建を複合組織移植として含む場合は肩甲骨皮弁や腓骨皮弁などが用いられる。もともと管腔臓器で粘膜組織をもつ遊離空腸は下咽頭頸部食道の再建などで非常に有用で咽喉頭頸部食道摘出時の再建には標準となっている1)。遊離空腸はきわめて薄くてしなやかで粘膜組織から成るため,頭頸部管腔臓器と粘膜同士で連続できることより接着性がよいことから化学放射線療法後の縫合不全が懸念される症例でも瘻孔形成の率が低く,救済手術でも安全に用いることができる再建材料である。またきわめて薄いうえに柔軟なことより特殊な症例ではあるが喉頭温存した中下咽頭後壁,輪状後部の切除後再建の場合には最も誤嚥が少なく有用である2)

 今回は,最も普遍的に用いられている咽喉頭頸部食道切除後の再建としての遊離空腸を例に術式を詳述する4)

参考文献

1)波利井清紀:遊離空腸移植による頸部食道の再建.臨床外科 388:455-462,1983
2)海老原 敏:喉頭を温存する下咽頭・頸部食道の切除再建術.外科MOOK 51:116-124,1988
3)Nakatsuka T, et al:Free colon transfer:A versatile method for reconstruction of pharungoesophageal defects with a large pharyngostoma. Ann Plast Surg 37:596-603, 1996
4)中塚貴志・他:下咽頭・頸部食道切除後の再建手術法の変遷と各術式の評価―国立がんセンターにおける過去30年間の症例の検討.癌治 32:10-19,1997
5)Kimata Y, et al:A new concept and technique for reconstruction of the lower pharyngeal space using the free jejunal graft. Arch Otol Head Neck Surg 125:745-749, 1998
6)木股敬裕・他:広範囲咽頭組織欠損に対する簡便な遊離空腸移植術.頭頸部腫瘍 25:482-488,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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