文献詳細
特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅲ.再建部位による再建材料の選択と再建方法
文献概要
Ⅰ はじめに
頭蓋底手術は1980年代に入り飛躍的な発展を遂げた。その背景として,遊離組織移植による安全性の高い頭蓋底再建が実現したことが大きな要素として挙げられる。頭蓋底再建術は静的再建であり,主たる目的は頭蓋内と頭蓋外の確実な分離で髄膜炎を防止することにある。したがって,言語・咀嚼・嚥下などの機能維持を目的にした下顎再建や中咽頭再建に比較すれば,再建術の難易度は高いとはいえない。しかし,ひとたび頭蓋底再建部に髄液漏が生じれば致命的な化膿性髄膜炎が発症するため,慎重かつ確実な再建が求められるのである。本稿では頭頸部悪性腫瘍の頭蓋底合併切除症例を前提として再建術を述べる。頭頸部癌手術において切除・再建の対象となる『頭蓋底』とは脳を下方から支える硬膜と,それに接する頭蓋骨をいう。前頭蓋窩,中頭蓋窩,後頭蓋窩に対応して,前頭蓋底,中頭蓋底,後頭蓋底に分類される。前頭蓋底再建が必要とされる疾患として鼻腔・前頭洞・篩骨洞・眼窩原発癌,上顎癌進行例などである。中頭蓋底再建術は上顎癌後方浸潤症例,側頭窩再建術は側頭窩骨軟部肉腫と聴器癌が大部分を占める。
頭蓋底手術は1980年代に入り飛躍的な発展を遂げた。その背景として,遊離組織移植による安全性の高い頭蓋底再建が実現したことが大きな要素として挙げられる。頭蓋底再建術は静的再建であり,主たる目的は頭蓋内と頭蓋外の確実な分離で髄膜炎を防止することにある。したがって,言語・咀嚼・嚥下などの機能維持を目的にした下顎再建や中咽頭再建に比較すれば,再建術の難易度は高いとはいえない。しかし,ひとたび頭蓋底再建部に髄液漏が生じれば致命的な化膿性髄膜炎が発症するため,慎重かつ確実な再建が求められるのである。本稿では頭頸部悪性腫瘍の頭蓋底合併切除症例を前提として再建術を述べる。頭頸部癌手術において切除・再建の対象となる『頭蓋底』とは脳を下方から支える硬膜と,それに接する頭蓋骨をいう。前頭蓋窩,中頭蓋窩,後頭蓋窩に対応して,前頭蓋底,中頭蓋底,後頭蓋底に分類される。前頭蓋底再建が必要とされる疾患として鼻腔・前頭洞・篩骨洞・眼窩原発癌,上顎癌進行例などである。中頭蓋底再建術は上顎癌後方浸潤症例,側頭窩再建術は側頭窩骨軟部肉腫と聴器癌が大部分を占める。
参考文献
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2)Ketcham AS, et al:Complication of intracranial facial resection for tumors of the paranasal sinuses. Am J Surg 112:591-596, 1966
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5)Horowitz JH, et al:Galeal-pericranial flaps in head and neck reconstruction-anatomy and application. Am J Surg 148:489-497, 1984
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