文献詳細
特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅲ.再建部位による再建材料の選択と再建方法
文献概要
Ⅰ はじめに
頭頸部癌切除後の再建は近年めざましく進歩している。なかでも下咽頭・頸部食道は解剖学的に嚥下機能や発声機能に大きく影響するため,再建方法にはさまざまな工夫を必要とする部位である。当然,術後のQOLを重視した再建材料の選択やその方法を個々の症例によって使いわけていく必要がある。
しかし頭頸部外科医として忘れてはならないことは癌の根治を考えることである。癌の治療成績の向上なくしては,いかに優れた再建手術を行っても全く意味がない。つまりは切除と再建のバランスを常に念頭に置いておく必要がある。昨今の時代の流れから,癌の切除は頭頸部外科医が行い,再建は形成外科医が行う,いわゆるチーム医療を実施する施設が多くなってきている。ところが各科の垣根の隔たりから,治療のうえでそのような分担ができない施設もある。本稿では下咽頭・頸部食道欠損に対して一般的に行われている再建材料と再建方法について示した。日常診療に少しでも役立てていただきたい。
頭頸部癌切除後の再建は近年めざましく進歩している。なかでも下咽頭・頸部食道は解剖学的に嚥下機能や発声機能に大きく影響するため,再建方法にはさまざまな工夫を必要とする部位である。当然,術後のQOLを重視した再建材料の選択やその方法を個々の症例によって使いわけていく必要がある。
しかし頭頸部外科医として忘れてはならないことは癌の根治を考えることである。癌の治療成績の向上なくしては,いかに優れた再建手術を行っても全く意味がない。つまりは切除と再建のバランスを常に念頭に置いておく必要がある。昨今の時代の流れから,癌の切除は頭頸部外科医が行い,再建は形成外科医が行う,いわゆるチーム医療を実施する施設が多くなってきている。ところが各科の垣根の隔たりから,治療のうえでそのような分担ができない施設もある。本稿では下咽頭・頸部食道欠損に対して一般的に行われている再建材料と再建方法について示した。日常診療に少しでも役立てていただきたい。
参考文献
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