文献詳細
特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅲ.再建部位による再建材料の選択と再建方法
文献概要
Ⅰ はじめに
気道は鼻腔,口腔,咽頭,喉頭,気管と気管支・細気管支によって構成される。喉頭,気管,気管支は管状の枠組みを軟骨が保持しており,内腔面は外界に接している。気管は空気の通り道であると同時に,線毛運動と咳反射により下気道分泌物や異物を除く排泄路として機能している。したがって,気管を再建する際には,気道としての管腔を保持する適切な硬度をもった枠組みと内腔面に線毛機能をもった粘膜を同時に再建することが理想的である。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が取り扱う気管の再建手術は,頸部気管の外傷などにより瘢痕性狭窄を生じた例や甲状腺癌などの悪性腫瘍が頸部気管に浸潤した例が主な対象となり,これらの病変へのアプローチと切除範囲の設定,および気管欠損部の再建方法が問題になる。本稿では,まず,気管再建を必要とする病態と原因について述べ,次いで,声門・声門下への対応を含めて,頸部気管の再建手術について解説する。
気道は鼻腔,口腔,咽頭,喉頭,気管と気管支・細気管支によって構成される。喉頭,気管,気管支は管状の枠組みを軟骨が保持しており,内腔面は外界に接している。気管は空気の通り道であると同時に,線毛運動と咳反射により下気道分泌物や異物を除く排泄路として機能している。したがって,気管を再建する際には,気道としての管腔を保持する適切な硬度をもった枠組みと内腔面に線毛機能をもった粘膜を同時に再建することが理想的である。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科医が取り扱う気管の再建手術は,頸部気管の外傷などにより瘢痕性狭窄を生じた例や甲状腺癌などの悪性腫瘍が頸部気管に浸潤した例が主な対象となり,これらの病変へのアプローチと切除範囲の設定,および気管欠損部の再建方法が問題になる。本稿では,まず,気管再建を必要とする病態と原因について述べ,次いで,声門・声門下への対応を含めて,頸部気管の再建手術について解説する。
参考文献
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