文献詳細
特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅳ.耳鼻咽喉科医が知っておきたい形成手術―秘伝を用いた小手術
文献概要
Ⅰ 気管孔の閉じ方
通常の気管切開後の気管孔は,気管カニューレを抜去すれば,自然閉鎖することが多い。しかし,
(1)気管切開が長期に置かれた場合
(2)甲状腺癌気管癒着・浸潤例における気管皮膚瘻形成後
(3)放射線治療後に施行した喉頭部分切除後の喉頭皮膚瘻形成例
(4)感染防止などの理由で,頸部手術創と気管切開孔との交通を遮断するため,気管全周縫合(気管開窓)した場合
などにおいては,気管(喉頭)皮膚瘻は全周にわたって上皮化して自然閉鎖しないことが多く,外科的な閉鎖術が必要となる。この閉鎖術においては,単純に皮膚を寄せて縫合閉鎖するのではなく,瘻孔面の気道上皮が欠損している部分を,頸部皮膚を翻転させて上皮を補い,raw surfaceを作らないように閉鎖しなければならない。すなわち,気管粘膜面,頸部皮膚面の2面の閉鎖となる。ここでは局所皮弁を用いた気管(喉頭)皮膚瘻閉鎖術について症例を呈示しながら述べる。
通常の気管切開後の気管孔は,気管カニューレを抜去すれば,自然閉鎖することが多い。しかし,
(1)気管切開が長期に置かれた場合
(2)甲状腺癌気管癒着・浸潤例における気管皮膚瘻形成後
(3)放射線治療後に施行した喉頭部分切除後の喉頭皮膚瘻形成例
(4)感染防止などの理由で,頸部手術創と気管切開孔との交通を遮断するため,気管全周縫合(気管開窓)した場合
などにおいては,気管(喉頭)皮膚瘻は全周にわたって上皮化して自然閉鎖しないことが多く,外科的な閉鎖術が必要となる。この閉鎖術においては,単純に皮膚を寄せて縫合閉鎖するのではなく,瘻孔面の気道上皮が欠損している部分を,頸部皮膚を翻転させて上皮を補い,raw surfaceを作らないように閉鎖しなければならない。すなわち,気管粘膜面,頸部皮膚面の2面の閉鎖となる。ここでは局所皮弁を用いた気管(喉頭)皮膚瘻閉鎖術について症例を呈示しながら述べる。
参考文献
1)中島 格:術後瘻孔閉鎖術(気道など).耳鼻咽喉・頭頸部手術アトラス(下巻),小松崎 篤・他(編).医学書院,東京,2000,pp139-141
2)Lore J, et al:An atlas of head and neck surgery. WB Saunders, Philadelphia, 2004, pp1034-1035(fistula)
3)Montgomery W:Surgery of the Upper Respiratory System. Vol. 2, Lea & Febiger, Philadelphia 1973, pp359-368
4)Lore J, et al:An atlas of head and neck surgery. WB Saunders, Philadelphia, 2004, p1135
5)原口秀俊:気管孔狭窄.耳鼻咽喉・頭頸部手術アトラス(下巻),小松崎 篤・他(編).医学書院 東京,2000,pp101-103.
6)浅井昌大:永久気管孔狭窄への対応.イラスト手術手技のコツ耳鼻咽喉科・頭頸部外科―咽喉頭頸部編,村上 泰・他(編).東京医学社 東京,2005,pp367-368
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