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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科81巻5号

2009年04月発行

文献概要

特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで Ⅳ.耳鼻咽喉科医が知っておきたい形成手術―秘伝を用いた小手術

6.Septorhinoplasty(鼻中隔外鼻形成術)の考え方と技術

著者: 久保伸夫1

所属機関: 1大阪歯科大学附属病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.159 - P.166

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Ⅰ はじめに

 欧米や韓国の臨床鼻科学において,外鼻形成術(rhinoplasty)は鼻副鼻腔手術と同等に重要な部門であり,150あるアメリカの耳鼻咽喉科講座の大半に外鼻形成に専門医がいる。また,わが国の鼻科学会では参加者数や演題数の減少が問題になっているが,韓国鼻科学会では外鼻形成関連の演題数が全体の半数近くに達しており,わが国同様に減少しているアレルギーや鼻副鼻腔疾患に関する演題の減少を補い,鼻科学会全体を隆盛に導いている。わが国でも約30年前までは耳鼻咽喉科でも外鼻形成手術が行われていたが,アメリカ鼻科学会との軋轢,審美目的の患者とのトラブル,再建材料の選択と再建技術の困難さなどから,次第に行われなくなり,新たに確立されてきた形成外科医にこの分野を明け渡してしまった。しかし,外鼻形成は審美性以外に機能性(自覚的他覚的な鼻のとおり)や堅牢性(われわれは5分に3回自分の鼻を触っている。堅牢に作らなければ長期的な形態の維持はできない)が求められる分野であり,形成外科医にとっても苦手な分野である。そのため,欧米では耳鼻咽喉科からも形成外科からも半ば独立した分野になっていたが,近年アメリカではイリノイ大学のような外鼻形成プログラムでレジデントを終えた専門医が,全米の耳鼻咽喉科講座にファカリティーとして招かれ一般耳鼻咽喉科のなかで外鼻形成を行う傾向にある。この背景には,鼻閉に対する鼻中隔矯正手術という耳鼻咽喉科医にとって避けて通れない日常的な手術は,鞍鼻を恐れず外鼻部鼻中隔まで処理しなければ効果のない症例が多いことや,顔面から突出した外鼻を支えるには鼻中隔を切除するだけでなく再建する必要があること,そのためには鼻中隔矯正は外鼻形成術の一環として行わなければならず,鞍鼻の整復も含めて外鼻が触れないと鼻中隔を触ってはならないという認識の広がりがある。このような目的で確立された外鼻形成の理論と技術を,鼻中隔外鼻形成術(septorhinoplasty)あるいは機能的外鼻形成術(functional rhinoplasty)と呼ばれる。後述のように,外鼻部をめくり上げ,軟骨など構成成分をいったんばらばらにしたうえで,鼻中隔をいったん切除して矯正し,再挿入して強固に固定することで機能性と堅牢性を確保したうえで,美容的な形成を行うというコンセプトと技術は高層ビルの設計と建築に近い。シリコンを入れるだけの外鼻形成手術は,柱が曲がったまま2階を増築するようなものである。本稿では鼻中隔外鼻形成術の考え方と鼻中隔再建術を紹介する。紙面の関係で,鼻尖や鼻翼,鼻背部の外鼻形成は別の機会に紹介したい。また,外鼻の解剖は成書を参考にされたい。

参考文献

1)Yong Ju Jang, Chan Haum Park:Practical Septorhinoplasty―An Asian Perspective, Koonia Publishing, Seoul, 2007
2)Hans Behrbohm, M Eugene Tardy:Essentials of Septorhinoplasty Philosophy-Approaches-Techniques, Thieme, Stuttgart, 2004
3)Dean M Toriumi, Daniel G Becker:Rhinoplasty Dissection Manual Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 1999
4)Dean M Toriumi, MA Checcona:New Concept in nasal tip contouring. Facial Plast Surg Clin North Am 17:55-90, 2009
5)酒井成見編:美容外科基本手術―適応と術式.南江堂,東京,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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