文献詳細
特集 リスクマネジメント
文献概要
Ⅰ.はじめに
大学病院の医療安全対策は始まったばかりだ。人の成長に喩えれば,ようやく立ち上がった赤ちゃんを家族が目を細め喜んでいるころに近い。えらくのんびり構えているように聞こえるかもしれないがそうではない。まったく体制がなかったところに,医療安全という組織横断的文化を新たに構築する作業は容易ではないからだ。当院に限らず,近隣の大学病院も体制整備に多大なエネルギーを注いでいる。行政主導で着手した医療安全体制創りであるが,毎年新たな医療安全上のテーマに主体的に取り組み,着実な成長を遂げていることは確かである。
当院の医療安全体制を語るとき,『事故調査委員会』に焦点を当てることが適当と考える(図1)。事故調査委員会は,2007年,夏に旧事故調査委員会を根本的にリニューアルし,『同僚評価(ピアレビュー)による事故調査委員会』として再出発をした。以来,順調に委員会は機能し,事故の過失評価,さらには再発防止策の立案や事故対応の拠所を提供するうえで不可欠な存在となっている。本稿では,当院の『ピアレビューによる事故調査委員会』のコンセプトを紹介し,実際の運用にも触れてみたい。
大学病院の医療安全対策は始まったばかりだ。人の成長に喩えれば,ようやく立ち上がった赤ちゃんを家族が目を細め喜んでいるころに近い。えらくのんびり構えているように聞こえるかもしれないがそうではない。まったく体制がなかったところに,医療安全という組織横断的文化を新たに構築する作業は容易ではないからだ。当院に限らず,近隣の大学病院も体制整備に多大なエネルギーを注いでいる。行政主導で着手した医療安全体制創りであるが,毎年新たな医療安全上のテーマに主体的に取り組み,着実な成長を遂げていることは確かである。
当院の医療安全体制を語るとき,『事故調査委員会』に焦点を当てることが適当と考える(図1)。事故調査委員会は,2007年,夏に旧事故調査委員会を根本的にリニューアルし,『同僚評価(ピアレビュー)による事故調査委員会』として再出発をした。以来,順調に委員会は機能し,事故の過失評価,さらには再発防止策の立案や事故対応の拠所を提供するうえで不可欠な存在となっている。本稿では,当院の『ピアレビューによる事故調査委員会』のコンセプトを紹介し,実際の運用にも触れてみたい。
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