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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科81巻6号

2009年05月発行

文献概要

鏡下囁語

補聴器適合運動16年―高齢化社会に増加する高齢難聴者に日本の耳鼻咽喉科医は対応するのか

著者: 野田寛12

所属機関: 1特定非営利活動法人沖縄県難聴福祉を考える会附属診療所・補聴相談のひろば(耳鼻咽喉科) 2琉球大学

ページ範囲:P.405 - P.407

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Ⅰ.はじめに

 当『鏡下囁語』に 1996(平成8)年から3回書かせていただいたように1~3),1993(平成5)年3月3日『耳の日』に『補聴器適合運動』を開始して16年になる。

 この間,日本耳鼻咽喉科学会(日耳鼻)では1995(平成7)年より各県に『補聴器キーパーソン』を設置,2004(平成16)年5月,第105回総会で『補聴器は医師の診断の元に購入すべき』と決議。これに対応する『補聴器相談医制度』を2006(平成18)年度より発足させ,法律的には2005(平成17)年4月の『薬事法改正』により,補聴器は“管理医療機器”に規定,補聴器販売規制,業者に補聴器適合の義務・責任,広告規制など,また2004(平成16)年11月の『特定商取引に関する法律等の改正』にて,クーリングオフなどの規制など,制度的にも法律的にも適合補聴器が得られるようになっているが,現実はいかがであろうか!?

 いずれは,先進各国のように“補聴器購入に医師の処方箋が必要”にすべきで,イギリス,ドイツ,フランスのように“医師が補聴器の適合具合をチェックする”ようになるべきで,ドイツのように“1年1度の補聴器チェックが法律で規定される”ようになり,常に最良の状況にすべきで,難聴者が適切の時期に適切に対応され,“人間としての一生を全うする”ようにされるべきであるが,日耳鼻,耳鼻咽喉科医各位の認識はいかがなものかと思われる状況は,非常に悲しいことである1~7)

参考文献

1)野田 寛:鏡下咡語―沖縄の補聴器の現状.耳喉頭頸 68:344-345,1996
2)野田 寛:鏡下咡語―補聴器適合運動8年―難聴当事者の声と共に.耳喉頭頸 73:368-369,2001
3)野田 寛:鏡下咡語―高齢社会の聴覚・コミュニケーション障害対応―日本の耳鼻咽喉科医は対応するのか?.耳喉頭頸 75:722-723,2003
4)野田 寛:高齢化社会の難聴・コミュニケーション障害―補聴器適合の重要性.耳鼻臨床 90:376-377,1997
5)野田 寛:補聴器UP DATE―補聴器適合運動を実施して感じていること.第10回日耳鼻専門医講習会テキスト1996,pp 11-13
6)野田 寛:難聴者自立への努力.21世紀耳鼻咽喉科領域臨床,野村恭也・他(総編集),第7巻 補聴器と人工内耳,野田寛(編).中山書店,東京,2001,pp63-65
7)野田 寛:プレナリーセッション:耳鼻咽喉科と社会連携―補聴器.第18回日耳鼻専門医講習会テキスト2004,pp63-66
8)宇良政治・他:高脂血症を有する耳鳴患者の検討.耳鼻 44:771-775,1998
9)野田 寛:当科における耳鳴・難聴への取り組み方.30の大学病院における診断と治療 シリーズ耳鳴・難聴の診断治療.真興交易,東京,1998,pp264-270
10)森満 保・他(監訳):Lehnhardt 臨床聴力検査―その基礎と実際 (Praktische Audiometorie Georg Thieme Verlag Stuttgart 1978),第4章インピーダンスオージオメトリー.光文堂,東京,1998,pp51-77

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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