耳鼻咽喉科・頭頸部外科81巻8号

2009年07月発行

原著

茵蔯五苓散^®が有効であった真性唾液分泌過多症

著者： 山口智¹ 三枝英人¹ 中村毅¹ 小町太郎¹ 粉川隆行¹ 愛野威一郎²

所属機関： ¹日本医科大学耳鼻咽喉科学教室 ²あいの耳鼻咽喉科医院

ページ範囲：P.549 - P.552

文献概要

Ⅰ．はじめに

　唾液分泌過多症は唾液分泌の絶対量が多い真性のものと，嚥下障害や上部消化管の占拠性病変による通過障害に伴い唾液が貯留した仮性のものとに分類される^1,2）。真性唾液分泌過多症の原因には，薬物性のものや消化器疾患に伴うもの，脳血管障害，パーキンソン病に伴うものなどが報告されており，治療の原則はおのおのの原因に応じたものが中心となる^1,2）。一方，原疾患の制御が困難である場合や，特発性の真性唾液分泌過多症の場合には，治療に難渋することが多い^2）。今回，われわれは，種々の治療に抵抗性であった特発性の真性唾液分泌過多症に対して，漢方製剤である茵蔯五苓散^®が著効した1例を経験したので報告する。

参考文献

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