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シリーズ 専門医試験への対応
―4.口腔咽頭喉頭疾患―7)唾液腺腫瘍
著者: 高橋光明1
所属機関: 1たかはし耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニック
ページ範囲:P.567 - P.576
文献購入ページに移動Ⅰ はじめに
唾液腺は大唾液腺(耳下腺,顎下腺,舌下腺)と小唾液腺から成る。これらの腺組織から発生する唾液腺腫瘍は1972年に組織分類がWHOから呈示され,世界共通の基準として広く用いられてきた。この分類は2005年に第3回目の改訂が行われた(表1)1)。この分類からわかるように唾液腺腫瘍の最も大きな特徴は多種多様な腫瘍がみられることである。このうち,良性の腫瘍では多形腺腫とワルチン腫瘍の頻度が高く,悪性の腫瘍では低悪性度癌と高悪性度癌があり,それぞれに腫瘍特性がみられる。
唾液腺腫瘍の頻度は10万当たり0.4~6.5人であり2),頭頸部腫瘍全体の3%を占めるにすぎない3)。これを腺別にみると耳下腺腫瘍が約70~80%を占め,顎下腺が5~10%,舌下腺が1%前後で,小唾液腺は10~15%の頻度である4)。
唾液腺腫瘍には発生母体となる腺によりいくつかの特徴がある5)。その1つは,悪性腫瘍の頻度である。従来より,『腺の容積が小さくなるほど悪性腫瘍の発生率が高くなる』といわれている。すなわち,その割合は耳下腺で20~30%,顎下腺で40~50%,舌下腺では70~80%となっている。また,小唾液腺では50~70%が悪性腫瘍である。第2に,各腺特有の組織型の腫瘍の発生がみられることである。例えば,ワルチン腫瘍はほとんどが耳下腺に発生する。第3には治療に当たり各腺特有の解剖学的,臨床学的問題を有することである。
以上のことより,唾液腺腫瘍の個々の腫瘍特性を縦軸とし,各腺の固有の問題を横軸にして唾液腺腫瘍の取り扱いを理解すべきである。
本稿では,主に唾液腺腫瘍の9割以上を占める上皮性腫瘍の特徴,診断,治療法について概説する。
唾液腺は大唾液腺(耳下腺,顎下腺,舌下腺)と小唾液腺から成る。これらの腺組織から発生する唾液腺腫瘍は1972年に組織分類がWHOから呈示され,世界共通の基準として広く用いられてきた。この分類は2005年に第3回目の改訂が行われた(表1)1)。この分類からわかるように唾液腺腫瘍の最も大きな特徴は多種多様な腫瘍がみられることである。このうち,良性の腫瘍では多形腺腫とワルチン腫瘍の頻度が高く,悪性の腫瘍では低悪性度癌と高悪性度癌があり,それぞれに腫瘍特性がみられる。
唾液腺腫瘍の頻度は10万当たり0.4~6.5人であり2),頭頸部腫瘍全体の3%を占めるにすぎない3)。これを腺別にみると耳下腺腫瘍が約70~80%を占め,顎下腺が5~10%,舌下腺が1%前後で,小唾液腺は10~15%の頻度である4)。
唾液腺腫瘍には発生母体となる腺によりいくつかの特徴がある5)。その1つは,悪性腫瘍の頻度である。従来より,『腺の容積が小さくなるほど悪性腫瘍の発生率が高くなる』といわれている。すなわち,その割合は耳下腺で20~30%,顎下腺で40~50%,舌下腺では70~80%となっている。また,小唾液腺では50~70%が悪性腫瘍である。第2に,各腺特有の組織型の腫瘍の発生がみられることである。例えば,ワルチン腫瘍はほとんどが耳下腺に発生する。第3には治療に当たり各腺特有の解剖学的,臨床学的問題を有することである。
以上のことより,唾液腺腫瘍の個々の腫瘍特性を縦軸とし,各腺の固有の問題を横軸にして唾液腺腫瘍の取り扱いを理解すべきである。
本稿では,主に唾液腺腫瘍の9割以上を占める上皮性腫瘍の特徴,診断,治療法について概説する。
参考文献
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