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特集 好酸球関連の病変
5.軟部好酸球性肉芽腫症(木村病)
著者: 吉原俊雄1
所属機関: 1東京女子医科大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.687 - P.689
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
軟部好酸球肉芽腫症(木村病)は1948年に木村ら1)が特異な病理学的特徴を報告し,1959年に飯塚ら2)が臨床所見と病理所見を基に木村病と命名したことに始まる。青年期から壮年期の若いアジア系の男性に好発することが知られている。本疾患は全身に発生しうるが,主として顔面,頸部などの皮膚軟部組織やリンパ節に無痛性の腫瘤を形成する疾患であり,特に耳下腺部に多くみられ耳下腺腫瘍を疑わせる腫脹を示す3)。その発生機序はいまだ不明であるが,妊娠,疲労,ストレスなどで腫脹の増悪することと,血中好酸球およびIgE抗体の高値を特徴とすることより,何らかのアレルギー,特にⅠ型アレルギーを背景とすることが示唆されている。本項では本疾患の臨床および組織学的特徴と現在行われている治療を含め実際の症例を呈示しながら解説したい。
軟部好酸球肉芽腫症(木村病)は1948年に木村ら1)が特異な病理学的特徴を報告し,1959年に飯塚ら2)が臨床所見と病理所見を基に木村病と命名したことに始まる。青年期から壮年期の若いアジア系の男性に好発することが知られている。本疾患は全身に発生しうるが,主として顔面,頸部などの皮膚軟部組織やリンパ節に無痛性の腫瘤を形成する疾患であり,特に耳下腺部に多くみられ耳下腺腫瘍を疑わせる腫脹を示す3)。その発生機序はいまだ不明であるが,妊娠,疲労,ストレスなどで腫脹の増悪することと,血中好酸球およびIgE抗体の高値を特徴とすることより,何らかのアレルギー,特にⅠ型アレルギーを背景とすることが示唆されている。本項では本疾患の臨床および組織学的特徴と現在行われている治療を含め実際の症例を呈示しながら解説したい。
参考文献
1)木村哲二・他:リンパ組織増成を伴う異常肉芽腫仁ついて,特に他の類似変化の組織像との比較.第11回東京病理集団会記事:10-14,1948
2)飯塚 栄・他:好エオジン球性リンパ腺炎およびリンパ肉芽腫症―木村氏病の提唱.日大医誌 18:900-908,1959
3)吉田 誠:軟部好酸球肉芽腫(木村病).21世紀耳鼻咽喉科領域の臨床No. 18免疫・アレルギー疾患,石川 哮(編),中山書店,東京,pp287-290,2001
4)石井正則:木村病について―4例の経験と本邦429例の統計的観察.耳展 25:407-416,1959
5)鈴木さおり・他:当科における木村病6症例の検討.頭頸部外科 13:47-54,2003
6)田制昭浩・他:柴朴湯が有効であった喉頭蓋木村病例.耳鼻臨床 96:999-1004,2003
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