耳鼻咽喉科・頭頸部外科82巻10号

2010年09月発行

原著

急激な経過をたどった小児の急性喉頭蓋炎の3例

著者： 永井世里¹ 木許泉² 吉岡正展³ 浅田貴康⁴ 濱島有喜⁵ 村上信五⁵

所属機関： ¹さくら病院耳鼻咽喉科 ²春日井市民病院小児科 ³春日井市民病院耳鼻いんこう科 ⁴あさだ耳鼻咽喉科クリニック ⁵名古屋市立大学医学研究科耳鼻神経感覚医学講座

ページ範囲：P.709 - P.714

文献概要

Ⅰ　はじめに

　急性喉頭蓋炎は，日常，比較的よく遭遇する疾患で，発熱や咽頭痛，嚥下痛を初発症状とすることが多い。成人の場合，急激に悪化して呼吸困難をきたすことは少ないが，小児では症状が電撃的に進行し，気道確保などの適切な処置が遅れた場合には致命的な経過をとる。欧米と比較し，わが国ではまだ頻度は少ないが^1,2,6），小児の急性上気道炎では常に念頭に置くべき疾患である。われわれは2007年11月から約2年間で3例の小児の急性喉頭蓋炎を経験し，2例は救命できたが1例は救命できず不幸な転帰をとった。これらの症例を振り返って，耳鼻咽喉科医の対応について文献的考察を加え報告する。

参考文献

1）川越信子：炎症：急性喉頭蓋炎，急性声門下喉頭炎．Practical Otolaryngology 9小児の耳鼻咽喉科診療．川越信子（編）．文光堂，東京，2002，pp160-163

2）横路征太郎：いわゆるクループ性疾患と急性喉頭蓋炎．JOHNS 8：582-587，1992

3）上原すゞ子，他：わが国の小児インフルエンザ菌感染症の実態（1985～1988年）．日児誌 94：573，1990

4）Robert W, et al：Acute epiglottitis intubation versus tracheostomy. Laryngoscope 88：994-1005, 1978

5）横路征太郎：小児喉頭疾患における気道確保―小児科の立場から．JOHNS 19：1563-1566，2003

6）市村恵一：小児喉頭疾患における気道確保―耳鼻咽喉科の立場から．JOHNS 19：1557-1561，2003

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8）庵原俊昭：インフルエンザ菌感染症とインフルエンザ菌b型ワクチン．モダンメディア 54：15-19，2008

9）Guldfred LA, et al：Acute epiglottitis epidemiology, clinical presentation, management and outcome. J Laryngol Otol 122：818-823, 2008

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11）Glynn F, et al：Diagnosis and management of supraglottitis（epiglottitis）. Curr Infect Dis Rep 10：200-204, 2008