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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科82巻11号

2010年10月発行

特集 表在癌の新しい対応

1.早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剝離術

著者: 藤原昌子1 森田圭紀1 豊永高史2 東健1

所属機関: 1神戸大学医学部附属病院消化器内科 2神戸大学医学部附属病院光学医療診療部

ページ範囲:P.751 - P.755

文献概要

Ⅰ.はじめに

 早期胃癌に対する内視鏡的切除術の歴史は,1968年に常岡ら1)によって開発された内視鏡的ポリペクトミーに始まった。その後,1980年代に竹腰ら2)によって開発されたendoscopic double snare polypectomy(EDSP)法,平尾ら3)によって開発されたendoscopic resection with local injection of hypersaline-epi-nephrine(ERHSE)法や多田ら4)のstrip biopsy法に代表される内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)の時代を経て,現在では内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)が開発・臨床応用され,全国に普及している。ESDは病変周囲の粘膜を全周性に切開し粘膜下層を剝離することにより病変を一括切除する方法である。ESDにより,大きさや占拠部位,瘢痕合併の有無にかかわらず病変の一括切除が可能となり,組織学的に十分な評価が可能な切除標本が得られ,内視鏡治療による根治度やリンパ節転移の可能性が正確に検討できるようになった。本稿では,ESDの概要について解説する。

参考文献

1)常岡健二・他:われわれの考案した内視鏡下の胃ポリープ切断採取法―ポリープ切断器について.Gastroenterol Endosc 11:174-184,1969
2)竹腰隆男・他:胃生検とpolypectomy標本診断の対比検討.Endoscopic double snare polypectomyの有用性について.日癌治会誌 16:395,1980
3)平尾雅紀・他:胃の腫瘍性病変に対する内視鏡的切除法.Gastroenterol Endosc 25:1942-1953,1983
4)多田正弘・他:Strip-off biopsyの開発.Gastroenterol Endosc 26:833-839,1984
5)日本胃癌学会(編):胃癌治療ガイドライン(第2版).金原出版,東京,2004
6)笹子三津留・他:早期胃癌の予後.胃と腸 28:139-146,1993
7)Gotoda T, et al:Incidence of lymph mode metastasis from early gastric cancer:estimation with a large number of cases at two large centers. Gatric Cancer 3:219-225, 2000
8)日本胃癌学会(編):胃癌取扱い規約(第14版).金原出版,東京,2010
9)日本消化器内視鏡学会卒後教育委員会:消化器内視鏡ガイドライン(3版).医学書院,東京,2006
10)森田圭紀:ハンズオンセミナー―ESDを学ぶには―指導施設での実際-6.メジカルレビュー社,東京,2007,pp248-251

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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