文献詳細
文献概要
原著
内直筋麻痺を生じた原発性蝶形骨洞囊胞例
著者: 成尾一彦1 宮原裕2 中嶋真沙子1 細井裕司1
所属機関: 1奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科 2大阪府立急性期・総合医療センター耳鼻咽喉・頭頸部外科
ページ範囲:P.247 - P.250
文献購入ページに移動蝶形骨洞囊胞は比較的稀で,その症状も鼻閉や鼻汁といった鼻症状ではなく,視力障害,色覚障害,視野障害,複視,眼瞼下垂,眼痛という眼症状や頭痛が多い。眼症状では視力障害が多くしばしば緊急手術となる。視力障害に眼球運動障害による複視を合併することは多いが,視力障害はなく眼球運動障害のみが生じる例は稀である1~8)。眼球運動障害を引き起こす神経麻痺として,動眼神経,外転神経,滑車神経の神経障害が考えられ,このうち動眼神経の障害が最も多い9,10)。しかし,蝶形骨洞囊胞例において動眼神経麻痺のうち内直筋だけが障害された症例の報告はない。今回視力障害を伴わずに内直筋麻痺による複視のみを合併した原発性蝶形骨洞囊胞例を経験したので報告する。
参考文献
掲載誌情報