耳鼻咽喉科・頭頸部外科82巻4号

2010年04月発行

シリーズ 知っておきたい生理・病態の基礎

4．顔面知覚

著者： 伊藤吏¹ 青柳優¹

所属機関： ¹山形大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座

ページ範囲：P.327 - P.332

文献概要

Ⅰ　はじめに

　顔面の知覚は主として三叉神経の三本の分枝，眼神経，上顎神経および下顎神経に支配される。さらに耳下部から後頭部にかけては頸神経叢から起こる大耳介神経，大後頭神経，小後頭神経が分布する（図1）。耳鼻咽喉科領域の日常診療において，顔面・頭部の疼痛を主訴に受診する患者は多く，その原因は腫瘍，炎症，神経痛，頸椎症などの整形外科的疾患，心因性のものなどさまざまである（表1）^1）。また，頻度は低いが顔面の知覚鈍麻を呈する中枢性疾患に遭遇することもある。顔面知覚異常の診断・治療を行ううえで顔面知覚に関する生理を理解することは非常に重要であり，本稿では顔面知覚に関する基礎的な解剖・生理と知覚異常を示す代表的な疾患，三叉神経痛，帯状疱疹後神経痛，Wallenberg症候群，脊髄空洞症などの病態について解説する。

参考文献

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