文献詳細
特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅰ.聴覚検査
文献概要
Ⅰ はじめに
語音とは,『言葉を構成する音声・言語音』のことであり,日常の音声コミュニケーションは語音を用いて行われている。そのため,語音を検査の素材として用いた語音聴力検査は,個人の会話能力を知るうえで重要な検査といえる。また,言葉の聴き分けは,中枢を含めた聴覚系における情報処理能力とかかわっているため,純音聴力検査と語音聴力検査を比較することにより,難聴の鑑別診断,特に後迷路性難聴や機能性難聴の鑑別に有用である。
わが国では,日本聴覚医学会の語音聴力検査法が普及しているため,本稿では日本聴覚医学会編集の語音聴力検査法1)で説明されている方法に基づいて記載する。語音聴力検査法も他の聴覚検査と同様,閾値検査と閾値上検査があり,下記の2種類がある。
(1)語音了解閾値検査(語音聴取閾値検査)―語音による閾値検査
(2)語音弁別検査(最高明瞭度検査)―閾値上検査で,語音をどれだけ正確に聴き分けられるかを検査
語音とは,『言葉を構成する音声・言語音』のことであり,日常の音声コミュニケーションは語音を用いて行われている。そのため,語音を検査の素材として用いた語音聴力検査は,個人の会話能力を知るうえで重要な検査といえる。また,言葉の聴き分けは,中枢を含めた聴覚系における情報処理能力とかかわっているため,純音聴力検査と語音聴力検査を比較することにより,難聴の鑑別診断,特に後迷路性難聴や機能性難聴の鑑別に有用である。
わが国では,日本聴覚医学会の語音聴力検査法が普及しているため,本稿では日本聴覚医学会編集の語音聴力検査法1)で説明されている方法に基づいて記載する。語音聴力検査法も他の聴覚検査と同様,閾値検査と閾値上検査があり,下記の2種類がある。
(1)語音了解閾値検査(語音聴取閾値検査)―語音による閾値検査
(2)語音弁別検査(最高明瞭度検査)―閾値上検査で,語音をどれだけ正確に聴き分けられるかを検査
参考文献
1)山下公一:語音聴力検査.聴覚検査の実際(改定2版).日本聴覚医学会(編).南山堂,東京,2004,pp74-87
2)西村忠己・他:語音聴力検査.JOHNS 24:719-723,2008
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4)岡安 唯・他:語音聴力検査における語音呈示方法による相違―難聴者における気導受話器と音場法の比較.Audiology Japan 51:601-602,2008
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7)細井裕司・他:語音聴力検査.耳喉頭頸 75:20-31,2003
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