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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅱ.めまい検査
文献概要
Ⅰ はじめに
めまいは,日常臨床で比較的多く遭遇する症候である。夜間,早朝のめまい発作のため,時間外に急患受診するケースも多く,そのため耳鼻咽喉科以外の他科の医師が当直帯に診察に当たることもしばしばである。めまい患者の診察で問題となるのは,中枢性疾患によるものか末しょう性疾患によるものかの鑑別である。症状が軽くても中枢性疾患であれば生命予後に関係してくるものもある。このような背景から,めまいを訴える患者の診断のポイントを知ることは,各科間の隔たりなく多くの医師の望むところである。その意味では,診療所,総合病院といった施設を選ばず,どこででも行える注視眼振検査,頭位・頭位変換眼振検査は重要である。その理由として,これらの検査では回転刺激検査,温度刺激検査とは異なり,通常は眼振を認めない点にある。すなわち,眼振を認めることは何か疾患が存在していることを示唆しているのである。眼振検査でどこまで病巣診断ができるかについては,過去にもいろいろと報告がなされてきた1,2)。
本稿では,注視眼振検査,頭位眼振検査,頭位変換眼振検査について,方法,得られた所見に対する解釈について概説する。
めまいは,日常臨床で比較的多く遭遇する症候である。夜間,早朝のめまい発作のため,時間外に急患受診するケースも多く,そのため耳鼻咽喉科以外の他科の医師が当直帯に診察に当たることもしばしばである。めまい患者の診察で問題となるのは,中枢性疾患によるものか末しょう性疾患によるものかの鑑別である。症状が軽くても中枢性疾患であれば生命予後に関係してくるものもある。このような背景から,めまいを訴える患者の診断のポイントを知ることは,各科間の隔たりなく多くの医師の望むところである。その意味では,診療所,総合病院といった施設を選ばず,どこででも行える注視眼振検査,頭位・頭位変換眼振検査は重要である。その理由として,これらの検査では回転刺激検査,温度刺激検査とは異なり,通常は眼振を認めない点にある。すなわち,眼振を認めることは何か疾患が存在していることを示唆しているのである。眼振検査でどこまで病巣診断ができるかについては,過去にもいろいろと報告がなされてきた1,2)。
本稿では,注視眼振検査,頭位眼振検査,頭位変換眼振検査について,方法,得られた所見に対する解釈について概説する。
参考文献
1)徳増厚二・他:注視眼振並びに自発眼振の診断的意義.耳鼻臨床 64:575-583,1971
2)八木聰明・他:眼振検査の病巣診断学的貢献度.耳鼻臨床(補) 2:95-103,1986
3)徳増厚二・他:平衡機能検査法基準化のための資料1987年平衡機能検査法基準化委員会答申書.Equilibrium Res 47:221-244,1988
4)池田卓生・他:ImageJを用いた眼振解析とその表示―平衡機能検査法基準化のための資料に基づいて.Equilibrium Res 68:92-96,2009
5)青柳 優・他:Rebound Nystagmus(反撥眼振)について.耳喉 47:33-38,1975
6)小松崎篤・他:眼球運動の神経学.医学書院,東京,1993,pp244-319
7)小松崎篤:眼振の検査法とその診断的意義.脳と神経 27:369-378,1975
8)渡辺行雄・他:良性発作性頭位めまい症診療ガイドライン(医師用).日本めまい平衡医学会診断基準化委員会編.Equilibrium Res 68:218-225,2009
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