文献詳細
特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅲ.顔面神経検査
文献概要
Ⅰ アブミ骨筋反射の機序1,2)
大きな音で中耳内にあるアブミ骨筋が収縮する反射をアブミ骨筋反射(stapedius reflex:SR)と呼ぶ。SRは伝音系の振動を抑制し,内耳への音入力を調節する。反射弓は求心路が蝸牛神経(聴神経)で遠心路が顔面神経である。また同時に三叉神経を遠心路として鼓膜張筋も収縮する。これらの反射を合わせて音響性耳小骨筋反射(acoustic reflex:AR)という用語が使われている。ARの測定は音刺激によって生じる外耳道腔の静的コンプライアンスの減少をインピーダンス・オージオメトリーで記録したものである。インピーダンス・オージオメトリーは別章で述べられているので,詳細はそちらを参照いただきたい。ARで総称されているが,鼓膜張筋腱反射の閾値は高いため,実際に臨床で測定している反応は主にSRである。
図1にSRの経路および関係する場所を模式的に表した。SRの入力系は聴覚で,効果器はアブミ骨筋である。外耳と中耳からなる伝音系が音を蝸牛に伝え,蝸牛で音刺激が電気信号に変換される。音のラウドネスは蝸牛神経の発火数,神経インパルスで表現される。神経インパルスが閾値を超えると橋にある腹側蝸牛神経核に入力された信号が上オリーブ複合体を経由して,顔面神経核を刺激する。この結果,遠心路である顔面神経を通して,アブミ骨筋が収縮する。アブミ骨筋が収縮するとアブミ骨の可動性が低下し,アブミ骨に連続する耳小骨および鼓膜のスティフネスが増加する。外耳道腔の一部を形成する鼓膜のスティフネスが増加した結果,外耳道腔の静的インピーダンスが増加する。インピーダンスはスティフネスの逆数であるコンプライアンスで測定しているため,AR検査ではコンプライアンスの減少,下向きの変化として記録される。静的コンプライアンスは個人差が大きいため,AR検査は相対的なコンプライアンスの変化をみる質的な検査である。
大きな音で中耳内にあるアブミ骨筋が収縮する反射をアブミ骨筋反射(stapedius reflex:SR)と呼ぶ。SRは伝音系の振動を抑制し,内耳への音入力を調節する。反射弓は求心路が蝸牛神経(聴神経)で遠心路が顔面神経である。また同時に三叉神経を遠心路として鼓膜張筋も収縮する。これらの反射を合わせて音響性耳小骨筋反射(acoustic reflex:AR)という用語が使われている。ARの測定は音刺激によって生じる外耳道腔の静的コンプライアンスの減少をインピーダンス・オージオメトリーで記録したものである。インピーダンス・オージオメトリーは別章で述べられているので,詳細はそちらを参照いただきたい。ARで総称されているが,鼓膜張筋腱反射の閾値は高いため,実際に臨床で測定している反応は主にSRである。
図1にSRの経路および関係する場所を模式的に表した。SRの入力系は聴覚で,効果器はアブミ骨筋である。外耳と中耳からなる伝音系が音を蝸牛に伝え,蝸牛で音刺激が電気信号に変換される。音のラウドネスは蝸牛神経の発火数,神経インパルスで表現される。神経インパルスが閾値を超えると橋にある腹側蝸牛神経核に入力された信号が上オリーブ複合体を経由して,顔面神経核を刺激する。この結果,遠心路である顔面神経を通して,アブミ骨筋が収縮する。アブミ骨筋が収縮するとアブミ骨の可動性が低下し,アブミ骨に連続する耳小骨および鼓膜のスティフネスが増加する。外耳道腔の一部を形成する鼓膜のスティフネスが増加した結果,外耳道腔の静的インピーダンスが増加する。インピーダンスはスティフネスの逆数であるコンプライアンスで測定しているため,AR検査ではコンプライアンスの減少,下向きの変化として記録される。静的コンプライアンスは個人差が大きいため,AR検査は相対的なコンプライアンスの変化をみる質的な検査である。
参考文献
1)川瀬哲明:アブミ骨筋の生理と機能.耳鼻臨床 102:505-513,2009
2)Borg E:On the neuronal organization of the acoustic middle ear reflex. A physiological and anatomical study. Brain Res 49:101-123, 1973
:Otologic Surgery, eds by Brackmann et al. WB Saunders, Philadelphia, 1994, pp 397-412
4)羽藤直人・他:Bell麻痺における麻痺発症3日以内の予後判定.Facial N Res Jpn 22:14-16,2002
5)神埼 仁:インピーダンス・オージオメトリー.聴覚検査の実際 改訂2版,立木孝監修,日本聴覚医学会(編).南山堂,東京,2004,pp88-98
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