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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈 Ⅳ.鼻・副鼻腔の検査
2.鼻腔通気度検査(anterior法,posterior法)
著者: 内藤健晴1
所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.161 - P.165
文献購入ページに移動Ⅰ はじめに
鼻腔通気度検査は鼻呼吸の通気程度を客観的に示せる機能検査の1つで,しかも簡便で侵襲も少ない。鼻科領域で保険適応となっている機能検査は嗅覚検査と本検査の2つしかなく,鼻腔通気度検査は鼻科領域での数少ない機能検査法の1つである。このように貴重で有用な鼻腔通気度検査法をわれわれが臨床の場で役に立てないのはもったいないことである。特に最近では手術適応の判定として用いるだけでなく1),鼻閉から来る睡眠障害の診断治療の問題からも鼻腔通気度検査は重要な評価機器となっているので2),その点も後ほど触れることにする。
鼻腔通気度計の原理は,鼻腔を通過する空気の流速と気圧差を同時測定し,流体力学の法則に則り気圧差を流速で割ると抵抗が算出されることによる3,4)。このときに圧差を鼻の後方(上咽頭や中咽頭)から導出する方法をposterior法,反対側の前鼻孔から導出する方法をanterior法と呼ぶ。論理的にはposterior法が優れ,両側鼻腔抵抗も実測できる利点があるが,圧導出が難しく測定できない場合が少なくない5)。一方,anterior法は片側ずつしか測定できないが測定がきわめて容易で測定不可となることがほとんどないという利点がある。そうしたことから国内外でanterior法が標準法として推奨されている6,7)。
通気度計の機械はあっても鼻腔通気度検査法はどうも小難しく何となく敬遠してきたという臨床経験豊富な先生方にも,また,これから新たに勉強して使いたいという若い先生方にも簡単に使えるようになってもらえることを目的に解説していきたい。
鼻腔通気度検査は鼻呼吸の通気程度を客観的に示せる機能検査の1つで,しかも簡便で侵襲も少ない。鼻科領域で保険適応となっている機能検査は嗅覚検査と本検査の2つしかなく,鼻腔通気度検査は鼻科領域での数少ない機能検査法の1つである。このように貴重で有用な鼻腔通気度検査法をわれわれが臨床の場で役に立てないのはもったいないことである。特に最近では手術適応の判定として用いるだけでなく1),鼻閉から来る睡眠障害の診断治療の問題からも鼻腔通気度検査は重要な評価機器となっているので2),その点も後ほど触れることにする。
鼻腔通気度計の原理は,鼻腔を通過する空気の流速と気圧差を同時測定し,流体力学の法則に則り気圧差を流速で割ると抵抗が算出されることによる3,4)。このときに圧差を鼻の後方(上咽頭や中咽頭)から導出する方法をposterior法,反対側の前鼻孔から導出する方法をanterior法と呼ぶ。論理的にはposterior法が優れ,両側鼻腔抵抗も実測できる利点があるが,圧導出が難しく測定できない場合が少なくない5)。一方,anterior法は片側ずつしか測定できないが測定がきわめて容易で測定不可となることがほとんどないという利点がある。そうしたことから国内外でanterior法が標準法として推奨されている6,7)。
通気度計の機械はあっても鼻腔通気度検査法はどうも小難しく何となく敬遠してきたという臨床経験豊富な先生方にも,また,これから新たに勉強して使いたいという若い先生方にも簡単に使えるようになってもらえることを目的に解説していきたい。
参考文献
1)Naito K, et al:Comparison of perceptional nasal obstruction with rhinomanometric and acoustic rhinometric assessment. Eur Arch Otorhinolaryngol 258:505-508, 2001
2)内藤健晴:アレルギー性鼻炎における睡眠障害の諸問題.臨床免疫アレルギー科 3(5):514-517,2009
3)内藤健晴:鼻づまりの検査とは? Q & Aでわかるアレルギー疾患 15:466-468,2007
4)内藤健晴:鼻腔通気度検査.アレルギーの臨 23:567-569,2003
5)内藤健晴:鼻腔通気度検査.耳喉頭頸 75:181-185,2003
6)内藤健晴・他:鼻腔通気度標準化委員会:鼻腔通気度測定法(Rhinomanometry)ガイドライン.日鼻誌 40:327-331,2001
7)Naito K, et al:Differential transnasal pressure in anterior and posterior rhinomanometry. Auris Nasus Larynx 18:27-32, 1991
8)内藤健晴・他:顔面マスクや鼻用ノズル装着による鼻腔抵抗への影響.日耳鼻 93:393,1990
9)内藤健晴:鼻閉の客観化に関する研究の進歩.耳喉頭頸 72:479-488,2000
10)Naito K, et al:An international comparison of characteristics of the sensation of nasal obstruction Canadian and Japanese patients. Rhinology 34:97-100, 1996
11)内藤健晴・他:後鼻圧導出用経鼻カテーテルを用いた鼻腔通気度測定法.日耳鼻 94:829-832,1991
12)内藤健晴:鼻腔通気度検査.鼻アレルギーフロンティア 2:36-39,2002
13)齋藤正治:音響鼻腔計測法(acoustic rhinometry)の基礎的研究および鼻粘膜過敏性評価への応用.藤田学園医学会誌(臨増) 24:207-239,2005
14)Ohki M, et al:Relationship between oral breathing and nasal obstruction in patients with obstructive sleep apnea. Acta Otolaryngol(Stockh) 523:228-230, 1996
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