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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科82巻5号

2010年04月発行

文献概要

特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈 Ⅳ.鼻・副鼻腔の検査

3.鼻アレルギー検査

著者: 黒野祐一1

所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

ページ範囲:P.167 - P.173

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Ⅰ はじめに

 わが国におけるアレルギー性鼻炎の有病率が最近増加傾向にあり,すでにさまざまなメデイアで報じられている。例えば,馬場ら1)は,1998~2008年までの10年間に,通年性アレルギー性鼻炎が18.7%から23.4%,スギ花粉症が16.2%から26.5%,アレルギー性鼻炎全体では29.8%から39.8%へと著しく増加したと報告している。これは全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象としたアンケート調査によるもので,いくつかのバイアスがあることは否めないが,アレルギー性鼻炎そしてスギ花粉症患者の増加は日常臨床の中で確かに実感されるところである。

 アレルギー性鼻炎は発作性かつ反復性のくしゃみ,水様性鼻汁,鼻閉を3大症状とし,アレルギーの専門医であればこれらの特徴的な症状について問診するだけでもある程度診断することは可能かもしれない。しかし,他に同様の症状を訴える鑑別すべき疾患も多く,確定診断にはいくつかの検査を行い,これを参考にする必要がある。その検査方法については,鼻アレルギー診療ガイドラインをはじめ数多くの著書に詳しく記載されている。

 そこで,本稿ではこれらの著書のなかで最も新しくかつ日常臨床で広く活用されている鼻アレルギー診療ガイドライン2009年版(改訂第6版)2)に準じて,鼻アレルギーの検査方法と手順,そして,その結果を解釈するうえでの留意点についてまとめてみたい。

参考文献

1)馬場廣太郎・他:鼻アレルギーの全国疫学調査2008(1998年との比較)―耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として.Prog Med 28:2001-2012,2008
2)鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症2009年版(改訂第6版).ライフサイエンス,東京,2008
3)奥田 稔:小児のアレルギー.小児科 26:293-298,1985
4)福田 憲・他:花粉症における結膜病変の発症機序と治療.アレルギー科 19:47-51,2005
5)奥田 稔:鼻アレルギー―基礎と臨床.医薬ジャーナル,東京,1999,pp167-213
6)増田佐和子:小児のアレルギー性鼻炎.MB ENT 82:11-17,2007
7)黒野祐一・他:小児副鼻腔炎の変遷と最近の治療の現況―鼻アレルギーとの関連性から.小児耳 17:29-31,1996
8)石川 哮:副鼻腔炎と免疫・アレルギー,耳鼻咽喉科・頭頸部外科MOOK No. 1.副鼻腔炎,大山 勝(編).金原出版,東京,1986,pp17-22
9)Karlsson G, et al:Does allergic rhinitis predispose to sinusitis? Acta Otolaryngol Suppl 515:26-28, 1994
10)鈴木元彦・他:副鼻腔陰影を伴うアレルギー性鼻炎の治療―マクロライド系抗菌薬の併用効果.耳鼻 52:68-75,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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