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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈 Ⅵ.嚥下検査
1.嚥下簡易検査
著者: 馬場均1
所属機関: 1京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
ページ範囲:P.209 - P.213
文献購入ページに移動Ⅰ はじめに
嚥下障害の診療は,障害の存在を疑うことから始まる。嚥下機能の検査法は大きく二群に分類される。1つは特殊な機器や準備を必要としない簡易検査(スクリーニング検査)であり,感度の高い簡易検査は嚥下障害診療の第一歩として有用である。もう一群は臨床的に明らかな嚥下障害が認められるときや簡易検査で異常を認めた患者に対し,詳細な評価を目的として行う精査である。後者の代表としては嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査がある。
前者においては準備や機器の問題だけでなく,検査方法が技術的に容易であることも重要である。
本稿では,簡易検査として普及している反復唾液嚥下テスト,水飲みテスト,食物テスト,血中酸素飽和度測定について取り上げる。
簡易検査として望まれる条件は,
・結果の再現性が高いこと
・迅速かつ簡便であること
・無(低)侵襲であること
などである。
嚥下障害の診療は,障害の存在を疑うことから始まる。嚥下機能の検査法は大きく二群に分類される。1つは特殊な機器や準備を必要としない簡易検査(スクリーニング検査)であり,感度の高い簡易検査は嚥下障害診療の第一歩として有用である。もう一群は臨床的に明らかな嚥下障害が認められるときや簡易検査で異常を認めた患者に対し,詳細な評価を目的として行う精査である。後者の代表としては嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査がある。
前者においては準備や機器の問題だけでなく,検査方法が技術的に容易であることも重要である。
本稿では,簡易検査として普及している反復唾液嚥下テスト,水飲みテスト,食物テスト,血中酸素飽和度測定について取り上げる。
簡易検査として望まれる条件は,
・結果の再現性が高いこと
・迅速かつ簡便であること
・無(低)侵襲であること
などである。
参考文献
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7)小口和代・他:小口和代・他:機能的嚥下障害スクリーニングテスト「反復唾液嚥下テスト」(the Repetitive Saliva Swallowing Test:RSST)の検討(2)妥当性の検討.リハ医学 37:383-388,2000
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