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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科82巻5号

2010年04月発行

特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈

Ⅵ.嚥下検査

3.嚥下造影検査

著者: 津田豪太1

所属機関: 1福井県済生会病院耳鼻咽喉科・頸部外科

ページ範囲:P.223 - P.227

文献概要

Ⅰ 検査の名称について

 嚥下障害の状態や程度をいわゆる透視画面を用いることで,動態として評価する検査法が嚥下造影検査である。しかし,この検査法の正式名称と呼ばれるものがいくつかあり,国内でも以前から嚥下造影検査,下咽頭食道造影検査,X線透視検査,VTR食道透視検査など複数あり,海外ではvideo fluorographyとかmodified ballium swallow,さらにはcookie swallowなどと呼称されている。これらの表現の多くは,透視検査をビデオ録画する放射線的診断手技を総括している程度であり,場合によっては注腸検査でも包括されてしまう。そこで,嚥下障害の診断という意味では嚥下造影検査が,英語表現ではmodified ballium swallowが最も妥当と思われる1)。しかし,英語表現として既にvideo fluorography(VF)が通称として一般化しているので,今回はこの名称で説明していく。いずれにせよ,VFは口腔から咽頭を経て食道へ至る上部消化管の嚥下動態を経口造影剤の流れによって評価し,障害の程度や誤嚥の有無とタイミング,誤嚥量や誤嚥後の排出の程度を評価する総合的検査法である。現時点で嚥下障害の診断と治療の面で最も信頼性の高い検査法といえる。なお,この検査は成人に行う場合と小児に行う場合で準備などの点で,いろいろと配慮する部分が異なってくるため,今回は成人を対象とした検査についてまとめる。

参考文献

1)谷本啓二,津田豪太:嚥下造影(Videofluorographic Study for Swallowing)の意義と手法.日獨医報 46:26-32,2001
2)平野 実・他:誤嚥の臨床分類とその意義―主として嚥下の動的障害について.日気食会報 31:285-290,1980
3)Logemann J:Evaluation and treatment of swallowing disorders. College Hill Press, SanDiego, 1983, pp64-69
4)江畑智希・他:ガストログラフィンによる嚥下性肺炎の1例.八千代病院紀要 13:10-11,1993
5)棚橋汀路・他:嚥下障害のX線透視検査記録の試案.耳鼻 34:121-125,1988
6)鮫島靖浩:嚥下造影検査の実際とポイント.JOHNS 21:1755-1760,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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