文献詳細
特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈
Ⅵ.嚥下検査
文献概要
Ⅰ はじめに
嚥下は多数の筋が精密なタイミングで筋収縮と弛緩を行うことで遂行される。特に咽頭期における上・中・下咽頭収縮筋や舌骨上・下筋群の筋活動様式は,嚥下障害の病態を診断するうえできわめて重要である。このような嚥下運動に関与する筋群の活動様式を臨床的に評価する方法として,筋電図検査は最も有用な検査法である。
嚥下機能検査としての筋電図検査は1956年にDottyら1)により提唱された。1966年には井上2)がヒトでの嚥下関与筋の筋電図を報告して以来多くの報告があり,その臨床的意義が広く認知されるようになっている。特に,筋電図検査は嚥下関与筋の筋活動性やそのタイミングを定量的に解析できる点で有用性が高い3,4)。しかし,針電極を用いて行う筋電図検査は侵襲的な検査であることや,手技的な困難性があることなどの問題点があり,臨床的には一般的な嚥下機能検査法とはいえず,補助的検査法として位置づけられている。本稿では,嚥下の筋電図検査の手技と代表的な所見について述べる。
嚥下は多数の筋が精密なタイミングで筋収縮と弛緩を行うことで遂行される。特に咽頭期における上・中・下咽頭収縮筋や舌骨上・下筋群の筋活動様式は,嚥下障害の病態を診断するうえできわめて重要である。このような嚥下運動に関与する筋群の活動様式を臨床的に評価する方法として,筋電図検査は最も有用な検査法である。
嚥下機能検査としての筋電図検査は1956年にDottyら1)により提唱された。1966年には井上2)がヒトでの嚥下関与筋の筋電図を報告して以来多くの報告があり,その臨床的意義が広く認知されるようになっている。特に,筋電図検査は嚥下関与筋の筋活動性やそのタイミングを定量的に解析できる点で有用性が高い3,4)。しかし,針電極を用いて行う筋電図検査は侵襲的な検査であることや,手技的な困難性があることなどの問題点があり,臨床的には一般的な嚥下機能検査法とはいえず,補助的検査法として位置づけられている。本稿では,嚥下の筋電図検査の手技と代表的な所見について述べる。
参考文献
1)Doty RW, et al:An electromyographic analysis of reflex deglutition. J Neurophysiol 19:44-60, 1956
2)井上鐵三:X線テレビ及び筋電図による嚥下運動の解析.日気食会報 18:5-16,1966
3)進 武幹・他:嚥下の筋電図検査.JOHNS 13:789-793,1997
4)井上鐵三・他:嚥下障害の診断法―筋電図による診断.JOHNS 8:1721-1726,1992
5)渋沢三伸・他:嚥下圧波形と輪状咽頭筋の筋電図との関係.日気食会報 40:9-15,1989
6)森 敏裕:嚥下第Ⅱ期における嚥下圧動態の研究.日耳鼻 95:1022-1034,1992
7)森 敏裕・他:嚥下困難をきたした多発性筋炎の4例.耳鼻 39:351-356,1993
8)吉田義一・他:輪状咽頭筋切断術の評価―嚥下困難を主訴としたOculopharyngeal muscular dystrophyならびに重症筋無力症について.耳鼻 33:427-478,1987
9)吉田哲二・他:輪状咽頭筋切断術の適応―X線透視と筋電図の同時記録による研究.耳鼻 33:479-482,1987
10)横山正人:嚥下機能検査とその評価.耳喉頭頸 73:655-660,2001
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