耳鼻咽喉科・頭頸部外科82巻5号

2010年04月発行

特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル―方法・結果とその解釈

Ⅶ．声の検査

2．喉頭ストロボスコピー

著者： 荒木幸仁¹ 塩谷彰浩¹

所属機関： ¹防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座

ページ範囲：P.241 - P.248

文献概要

Ⅰ　はじめに

　音声障害の多くは喉頭の器質的疾患による声帯振動の障害が原因であり，診断における喉頭観察の意義はきわめて高い。喉頭ストロボスコピーは通常は観察困難な速さで定常振動している発声状態の声帯を，ストロボ光によりスローモーション像として幻視することができる。病変の硬さ，物性や拡がりなどの情報を捉えることができ，小さな病変でも声帯振動の乱れとして検出が可能で，声帯病変や音声障害診断における重要な役割を担っている。本項では喉頭ストロボスコピーの原理や適応，所見の特徴などについて考察する。

参考文献

1）塩谷彰浩・他：声帯を中心とした喉頭の静的動的検査法．新編 声の検査法，日本音声医学会（編）．医歯薬出版，東京，2009，pp70-103

2）廣瀬　肇：症候1音声障害．CLIENT21 14．喉頭，野村恭也・他（編）．中山書店，東京，2001，pp77-81

3）磯貝　豊：診断3ストロボスコピー．CLIENT21 14．喉頭，野村恭也・他（編）．中山書店，東京，2001，pp143-150

4）趙　榮祥・他：声帯上皮過形成症の臨床所見と組織像．日耳鼻 94：225-230，1991

5）森　一功・他：声帯上皮過形成症に対するレーザー手術．頭頸部外科 10：127-131，2000

6）Colden D, et al：Stroboscopic assessment of vocal fold keratosis and glottic cancer. Ann Otol Rhonol Laryngol 110：293-298, 2001

7）Remacle M, et al：Endoscopic cordectomy. A proposal for a classification by the Working Committee, European Laryngological Society. Eur Arch Otorhinolaryngol 257：227-231, 2000

8）Remacle M, et al：Proposal for revision of the European Laryngological Society classification of endoscopic cordectomies. Eur Arch Otorhinolaryngol 264：499-504, 2007

9）磯貝　豊・他：内筋麻痺におけるストロボスコピーの有用性．JOHNS 25：613-618，2009