文献詳細
特集 耳鼻咽喉科領域の術後機能評価
文献概要
Ⅰ.はじめに
鼓室形成術後の聴力成績を報告する際の基準は,いくつかの国で標準化されている。わが国においては,気骨導差,聴力改善,聴力レベルの3判定基準を組み合わせた聴力改善の成績判定案〔日本耳科学会(以下,耳科学会と略す),1999年〕が用いられている1)。欧米の基準である伝音難聴の治療成績に対する評価ガイドライン〔American Academy of Otolaryngology-Head and Neck Surgery(AAO-HNS)1995年〕2)では,気骨導差のみを判定基準としており,本邦案とは少し異なる。両ガイドラインの運用上の注意点などについて述べる。
また,手術後に耳漏やデブリの溜まりが消失しメインテナンスフリーの状態になることが鼓室形成術の最終的な目標となる。よく含気化された中耳の構築は,聴力を含むこれらの機能を安定的に維持するための必要条件となる。術後含気腔評価については,標準化された方法はないが,機能評価の一法を紹介したい。
鼓室形成術後の聴力成績を報告する際の基準は,いくつかの国で標準化されている。わが国においては,気骨導差,聴力改善,聴力レベルの3判定基準を組み合わせた聴力改善の成績判定案〔日本耳科学会(以下,耳科学会と略す),1999年〕が用いられている1)。欧米の基準である伝音難聴の治療成績に対する評価ガイドライン〔American Academy of Otolaryngology-Head and Neck Surgery(AAO-HNS)1995年〕2)では,気骨導差のみを判定基準としており,本邦案とは少し異なる。両ガイドラインの運用上の注意点などについて述べる。
また,手術後に耳漏やデブリの溜まりが消失しメインテナンスフリーの状態になることが鼓室形成術の最終的な目標となる。よく含気化された中耳の構築は,聴力を含むこれらの機能を安定的に維持するための必要条件となる。術後含気腔評価については,標準化された方法はないが,機能評価の一法を紹介したい。
参考文献
1)森山 寛・他:聴力改善の成績判定について(提案).Otol Jpn 9:443,1999
2)Committee on Hearing and Equilibrium guidelines for the evaluation of results of treatment of conductive hearing loss. American Academy of Otolaryngology-Head and Neck Surgery Foundation Inc. Otolaryngol Head Neck Surg 113:186-187, 1995
3)松田圭二・他:前鼓室開放術を併用した外耳道後壁保存真珠腫手術前後の中耳腔含気.耳鼻 42(Suppl. 2):805-813,1996
4)東野哲也・他:中耳真珠腫の進展度分類について(2008年)―日本耳科学会用語委員会報告.Otol Jpn 18:611-615,2008
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