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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科82巻7号

2010年06月発行

文献概要

原著

口腔内より刺入した頸部箸異物例

著者: 脇坂浩之12 前谷俊樹1 高橋宏尚1 鵜久森徹1 本吉和美1 高木大樹1

所属機関: 1愛媛大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科 2愛媛大学医学部生体機能解析学解剖学発生学分野

ページ範囲:P.469 - P.473

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Ⅰ はじめに

 口腔,咽頭異物は日常診療でしばしば経験する疾患だが,そのほとんどは口腔や咽頭の浅層に留まる異物であり,外来で摘出可能なことが多い。その一方,箸などの異物が口腔内より刺入し脳脊髄や大血管の損傷をきたして重篤となる症例も存在する1~3)。このような症例では,異物の存在位置に対する画像診断の重要性は述べるまでもないが,摘出前後の気道確保や大血管損傷に伴う出血や血栓への対応,他科との連携なども必要となってくる。今回われわれは,口腔内より刺入した箸が副咽頭間隙を経て内頸動脈の深層を進み後頸部に停止していた症例を経験したので報告する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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