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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科82巻8号

2010年07月発行

原著

プロトンポンプ阻害薬不応性LPRDに対するクエン酸モサプリド併用療法の検討

著者: 平位知久1 福島典之1 小野邦彦1 羽嶋正明1 片桐佳明1

所属機関: 1県立広島病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲:P.543 - P.547

文献概要

Ⅰ はじめに

 咽喉頭酸逆流症(laryngopharyngeal reflux disease:LPRD)は,胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)との関連が考えられている。LPRDの病態としては,胃酸が直接下咽頭まで逆流して粘膜障害を引き起こす直接障害説と,下部食道への逆流が食道粘膜を刺激し,その結果,迷走神経を介する神経反射により症状を引き起こす反射説の2つがある1)。他覚所見としては,披裂間粘膜の肥厚,披裂部粘膜の腫脹,声帯突起部の肉芽腫,重症になると喉頭全体の粘膜腫脹に至ることもある。自覚症状は,嗄声,咽頭痛,嚥下困難,咽喉頭違和感などである2)。LPRDに対する治療としての薬物は,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)が選択されることが多い。LPRDでは,しばしばPPIが無効な症例がみられるが,そのような症例に対して,山下ら3)や渡嘉敷ら4)は,クエン酸モサプリド(mosapride citrate hydrate,商品名ガスモチン:MC)の投与が有効な場合があるとしている。今回われわれは,PPI不応性LPRDに対してMC併用療法を行い,良好な結果を得ることができたので,代表的な症例について呈示した後,12例の臨床経過および同療法の有効性についての検討結果を報告する。

参考文献

:The larynx. Baltimore, ed by Ossoff RH. Williams & Wilkins, Baltimore, 2003, pp 499-511
2)渡嘉敷亮二:咽喉頭酸逆流症:最近の知見.口咽科 16:219-222,2004
3)山下弘之・他:咽喉頭異常感症の治療-ランソプラゾールを第一選択薬としたステップアップ方式の導入.耳鼻 50:161-164,2004
4)渡嘉敷亮二・他:GERD, LPRD. JOHNS 9:1372-1374, 2005
5)春間 賢・他:なぜ今GERDか.Medicina 42:111-125,2005
6)小林武夫・他:後連合付近の病変の処置.JOHNS 8:485-487,1992
7)二藤隆春:喉頭肉芽腫.JOHNS 20:968-972,2004
8)川崎順久・他:喉頭の非特異的肉芽腫-当科における105例の臨床統計.日気食会報 40:16-23,1989
9)小林丈二・他:喉頭肉芽腫に対する音声治療の有効性.喉頭 13:51-55,2001
10)誉田芳孝・他:非びらん性胃食道逆流症(NERD)患者に対するPPIと消化管運動機能改善薬の効果比較.診断と治療 95:149-152,2007
11)神谷 武・他:非びらん性胃食道逆流症に対するクエン酸モサプリドの効果.新薬と臨 11:1809-1812,2007
12)竹内義明・他:クエン酸モサプリドはPPIの薬物動態に好影響をもたらす.Therapeutic Res 27:671-672,2006
13)當山晃世・他:クエン酸モサプリドが有効であったPPI抵抗性逆流性食道炎の1例.Pharma Mecica 21:111-114,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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