文献詳細
原著
プロトンポンプ阻害薬不応性LPRDに対するクエン酸モサプリド併用療法の検討
著者: 平位知久1 福島典之1 小野邦彦1 羽嶋正明1 片桐佳明1
所属機関: 1県立広島病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
ページ範囲:P.543 - P.547
文献概要
咽喉頭酸逆流症(laryngopharyngeal reflux disease:LPRD)は,胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)との関連が考えられている。LPRDの病態としては,胃酸が直接下咽頭まで逆流して粘膜障害を引き起こす直接障害説と,下部食道への逆流が食道粘膜を刺激し,その結果,迷走神経を介する神経反射により症状を引き起こす反射説の2つがある1)。他覚所見としては,披裂間粘膜の肥厚,披裂部粘膜の腫脹,声帯突起部の肉芽腫,重症になると喉頭全体の粘膜腫脹に至ることもある。自覚症状は,嗄声,咽頭痛,嚥下困難,咽喉頭違和感などである2)。LPRDに対する治療としての薬物は,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)が選択されることが多い。LPRDでは,しばしばPPIが無効な症例がみられるが,そのような症例に対して,山下ら3)や渡嘉敷ら4)は,クエン酸モサプリド(mosapride citrate hydrate,商品名ガスモチン:MC)の投与が有効な場合があるとしている。今回われわれは,PPI不応性LPRDに対してMC併用療法を行い,良好な結果を得ることができたので,代表的な症例について呈示した後,12例の臨床経過および同療法の有効性についての検討結果を報告する。
参考文献
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