耳鼻咽喉科・頭頸部外科82巻8号

2010年07月発行

原著

良性疾患を疑わせた声門上非扁平上皮癌の2症例

著者： 竹村考史¹ 羽馬宏一¹ 門脇嘉宣¹ 緒方憲久¹

所属機関： ¹国立病院機構熊本医療センター耳鼻咽喉科

ページ範囲：P.549 - P.551

文献概要

Ⅰ　はじめに

　当科での最近10年間の喉頭癌根治治療症例は92例で，97.8％（90例）が扁平上皮癌であった。非扁平上皮癌症例は2例で，それぞれ粘表皮癌と未分化癌であった。いずれも声門上粘膜下病変で，一見良性疾患を疑わせ，摘出により診断された。今回，この2症例について若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1）Barnes I, et al：WHO Classification of Tumors：Pathology and Genetics of the Head and Neck Tumors. IARC Press, Lyon, 2005

2）坂本菊男・他：粘表皮癌の臨床病理学的検討．日耳鼻 108：142-149，2005

3）道場隆博・他：喉頭神経鞘腫の1例．耳喉頭頸 81：539-542，2009

4）田中宏子・他：耳下腺腫瘍の画像診断．頭頸部癌 34：365-371，2008

5）菅　喜郎・他：喉頭に発生した脂肪腫の1例．耳鼻 40：765-768，1994

6）中本哲也・他：嗄声と労作時の息切れをきっかけに見つかった声門下腺様囊胞癌の1例．喉頭 21：35-40，2009

7）小津千佳・他：Maxillary swing approachにより摘出した上咽頭粘表皮癌の1例．耳喉頭頸 80：879-883，2008