文献詳細
文献概要
シリーズ 知っておきたい生理・病態の基礎
7.体平衡
著者: 伊藤八次1
所属機関: 1岐阜大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学分野
ページ範囲:P.565 - P.569
文献購入ページに移動Ⅰ はじめに
ヒトは二足で直立・歩行する動物である。二足の支持面は身長に比較し狭いので,ヒトの直立姿勢は物理的に不安定である。直立姿勢を維持するためには,身体の重心(体重心)の鉛直下方への投影点が足底支持面内に保持される必要がある。支持面を超える場合は転倒する。支持面を超えても転倒を防止するためには,一歩踏み出すか,足をずらして支持面を拡大するか,身体を支持できる物体を把持するかが必要となる。また,ヒトの直立姿勢は地面に棒を立てたようなものでなく,個人差はあるが,一定の範囲でゆらゆら動揺している。この動揺は健常人では比較的小さく,直立維持可能な限界はこれよりも大きい。本稿では直立姿勢を維持するメカニズムを中心に述べる。
ヒトは二足で直立・歩行する動物である。二足の支持面は身長に比較し狭いので,ヒトの直立姿勢は物理的に不安定である。直立姿勢を維持するためには,身体の重心(体重心)の鉛直下方への投影点が足底支持面内に保持される必要がある。支持面を超える場合は転倒する。支持面を超えても転倒を防止するためには,一歩踏み出すか,足をずらして支持面を拡大するか,身体を支持できる物体を把持するかが必要となる。また,ヒトの直立姿勢は地面に棒を立てたようなものでなく,個人差はあるが,一定の範囲でゆらゆら動揺している。この動揺は健常人では比較的小さく,直立維持可能な限界はこれよりも大きい。本稿では直立姿勢を維持するメカニズムを中心に述べる。
参考文献
1)Wilson VJ, et al:Mammalian vestibular physiology. Plenum Press, New York and London, 1979
2)Horak FB, et al:Central programming of postural movements:adaptation to altered support-surface configurations. J Neurophysio1 55:1369-1381, 1986
3)時田 喬:重心動揺検査.アニマ(株),東京,2006
4)Mauritz KH, et al:Quantitative analysis of stance in late cortical cerebellar atrophy of the anterior lobe and other forms of cerebellar ataxia. Brain 102:461-482, 1979
5)森 充広・他:パーキンソン病の重心動揺 ―動揺パターンを中心に.Equilibrium Res 57:271-279,1998
6)伊藤八次:Ⅱ.めまい検査7.重心動揺検査.耳喉頭頸 82(増刊):131-135,2010
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