耳鼻咽喉科・頭頸部外科82巻9号

2010年08月発行

原著

口内炎を初発症状とした尋常性天疱瘡の2例

著者： 池田怜吉¹ 東海林史² 粟田口敏一² 千釜理佳³ 小林俊光²

所属機関： ¹東北厚生年金病院耳鼻咽喉科 ²東北大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科 ³東北厚生年金病院皮膚科

ページ範囲：P.603 - P.606

文献概要

Ⅰ　はじめに

　難治性口内炎の鑑別疾患として尋常性天疱瘡はよく知られているが，実際に耳鼻咽喉科医が遭遇する機会は少なく，確定診断までに時間を要した報告が散見される^1～3）。

　今回われわれは尋常性天疱瘡の2例を経験したので報告する。

参考文献

1）岸本和裕・他：陰性であった抗デスモグレイン3抗体価の急激な上昇をみた粘膜優位型尋常性天疱瘡．皮膚臨床 51：267-271，2009

2）成尾一彦・他：尋常性天疱瘡の2症例．口腔咽頭科 19：265-271，2007

3）川井田政弘・他：口腔粘膜病変を伴った水疱症―尋常性天疱瘡，落葉状天疱瘡，水疱性類天疱瘡，瘢痕性類天疱瘡の4例．耳鼻展望 30：595-602，1987

4）小川秀興：天疱瘡の診断基準，重症度判定基準，治療指針について．厚生省特定疾患皮膚・結合組織疾患研究　稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究班　平成12年度研究報告書，2000，pp223-231

5）天谷雅行：病態から考える皮膚疾患診療手順―自己免疫性水疱症．皮膚臨床 45：1343-1349，2003

6）Amagai M, et al：Autoantibodies against a novel epithelial cadherin in pemphigus vulgaris, a disease of cell adhesion. Cell 67：869-877, 1991

7）Shirakata Y, et al：Lack of mucosal involvement in pemphigus foliaceus may be due to low expression of desmoglein 1. J Invest Dermatol 110：76-78, 1998

8）高橋勇人・他：知っておきたい検査とその読み方　免疫学的検査　抗デスモグレイン1,3抗体．皮膚臨床 48：1283-1287，2006