文献詳細
文献概要
特集 こんなときどうする?―鼻科手術編
鼻中隔穿孔になるか?!
著者: 朝子幹也1
所属機関: 1関西医科大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.815 - P.818
文献購入ページに移動Ⅰ.概説
鼻中隔矯正術は耳鼻咽喉科医であれば,比較的早い時期から実際の手術を担当することが多く,「初心者向け」と考えられがちな鼻科手術といえる。しかし実際のところは狭い術野での繊細な操作が必要であり,きっちりと鼻閉を改善するためには一定の経験と知識を要する手術であると筆者は認識している。切開線が外鼻孔から近い位置にあるために内視鏡保持などの操作においては一定の困難さがあるために,おそらく現在でも一部裸眼操作で,あるいは全行程を裸眼手術として行っている施設もあるのではないかと思う。しかし筆者は,鼻中隔矯正術の全行程を内視鏡下に行うことは非常にメリットがあり,推奨される手技であると考えている。これは操作している層が正しい位置にあるかということを確実に確認する意味でも重要であり,ひいては鼻中隔穿孔を起こさない意味でも重要なファクターである。鼻中隔手術は近年ではさらにバリエーションと工夫がなされるようになり,前尾側端(caudal end)が原因の彎曲に対しても,cottle incisionでのアプローチ1)やopen septorhinoplasty2)で積極的に手術が行われるようになってきており,上級者にとっても積極的な勉強と経験が必要な領域でもある。
本稿では基本的に内視鏡下で鼻中隔矯正術を行っていることが前提に述べていきたいと思う。
鼻中隔矯正術は耳鼻咽喉科医であれば,比較的早い時期から実際の手術を担当することが多く,「初心者向け」と考えられがちな鼻科手術といえる。しかし実際のところは狭い術野での繊細な操作が必要であり,きっちりと鼻閉を改善するためには一定の経験と知識を要する手術であると筆者は認識している。切開線が外鼻孔から近い位置にあるために内視鏡保持などの操作においては一定の困難さがあるために,おそらく現在でも一部裸眼操作で,あるいは全行程を裸眼手術として行っている施設もあるのではないかと思う。しかし筆者は,鼻中隔矯正術の全行程を内視鏡下に行うことは非常にメリットがあり,推奨される手技であると考えている。これは操作している層が正しい位置にあるかということを確実に確認する意味でも重要であり,ひいては鼻中隔穿孔を起こさない意味でも重要なファクターである。鼻中隔手術は近年ではさらにバリエーションと工夫がなされるようになり,前尾側端(caudal end)が原因の彎曲に対しても,cottle incisionでのアプローチ1)やopen septorhinoplasty2)で積極的に手術が行われるようになってきており,上級者にとっても積極的な勉強と経験が必要な領域でもある。
本稿では基本的に内視鏡下で鼻中隔矯正術を行っていることが前提に述べていきたいと思う。
参考文献
1)齊藤秀行・他:Cottle法による鼻中隔矯正術.頭頸部外科 17:237-242,2008
2)児玉 悟・他:耳鼻咽喉科医によるOpen Septorhinoplasty症例.鼻閉と整容の改善を目的として.日本鼻科学会会誌 48:117-122,2009
3)朝子幹也・他:アレルギー性鼻炎の外科的治療.術式の選択と粘膜下下鼻甲介骨後鼻神経合併切除術.日本鼻科学会会誌 49:8-14,2010
4)竹野幸夫:手術手技:私が愛用する手術器具―鼻中隔矯正術における転ばぬ先の杖.JOHNS 24:1765-1768,2008
5)長舩宏隆:耳鼻咽喉科・頭頸部外科における手術の危険度―鼻中隔矯正術.耳咽頭頸 74:72-75,2002
6)春名眞一:手術・手技シリーズ:鼻中隔矯正術.耳咽頭頸 73:794-798,2001
7)上野幸恵・他:当科における鼻科手術後鼻内タンポンの検討.113:386,2010
掲載誌情報