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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科83巻11号

2011年10月発行

原著

ボリコナゾールによる意識障害をきたした浸潤型蝶形骨洞真菌症の1例

著者: 松居秀敏1 黒田浩之1 丹生健一2 今西純一3 三輪陽一4

所属機関: 1国立病院機構神戸医療センター耳鼻咽喉科 2神戸大学医学部附属病院耳鼻咽喉・頭頸部外科 3国立病院機構神戸医療センター循環器科 4国立病院機構神戸医療センター内科

ページ範囲:P.865 - P.869

文献概要

Ⅰ はじめに

 副鼻腔真菌症は浸潤型と非浸潤型に大別される。副鼻腔真菌症の多くを占める非浸潤型は予後良好であるが,浸潤型副鼻腔真菌症は深在性真菌症の特徴である治療の困難さだけでなく,頭蓋内への浸潤を合併することから不幸な転機をたどることが多い。このような背景のなか,新たな抗真菌薬ボリコナゾール(VRCZ)を使用し,良好な治療効果を得たとする報告1,2)が近年散見されるようになってきた。しかし,わが国では2005年に販売開始された比較的新しい薬であるため,重篤な副作用についての報告例はまだ少ない。今回われわれは,浸潤型副鼻腔真菌症に対し,VRCZを使用し,それにより意識障害をきたした症例を経験したので報告する。

参考文献

1)Nakaya K, et al:New treatment for invasive fungal sinusitis:three cases of chronic invasive fungal sinusitis treated with surgery and voriconazole. Auris Nasus Larynx 37:244-249, 2010
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9)山崎啓介・他:血清分離剤入り滅菌真空採血管中での薬物血中濃度の変化.医療薬 31:537-543,2005
10)下枝貞彦・他:血液内科領域におけるボリコナゾール血中濃度測定の臨床的意義.医療薬 34:638-643,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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