耳鼻咽喉科・頭頸部外科83巻12号

2011年11月発行

特集 知っておきたい皮膚科の知識―専門医の診方・治し方

天疱瘡

著者： 鶴田大輔¹ 橋本隆¹

所属機関： ¹久留米大学医学部皮膚科・久留米大学医学部皮膚細胞生物学研究所

ページ範囲：P.907 - P.910

文献概要

Ⅰ．概要

　水疱とは，皮膚に水様性液体が貯留し，皮表から透見可能な皮疹である。天疱瘡は表皮内水疱を呈する自己免疫性水疱症である。天疱瘡では，表皮角化細胞間の接着機構であるデスモゾームの主要構成分子，デスモグレインに対する自己抗体（抗デスモグレイン抗体）が形成されるために，表皮細胞間結合が阻害されて水疱が生じる^1）。

　経過は慢性であり，年余の経過をたどる。治療はステロイド投与が主体であるが，近年さまざまな免疫抑制剤，免疫グロブリン大量療法，血漿交換療法などが併用されることにより，予後は大幅に改善された。

参考文献

1）Amagai M：The molecular logic of pemphigus and impetigo：the desmoglein story. Vet Dermatol 20：308-312, 2009

2）Kitajima Y, et al：A perspective of pemphigus from bedside and laboratory-bench. Clin Rev Allergy Immunol 33：57-66, 2007

3）Hashimoto T, et al：Human desmocollin 1（Dsc1）is an autoantigen for the subcorneal pustular dermatosis type of IgA pemphigus. J Invest Dermatol 109：127-131, 1997

4）天谷雅行・他：天疱瘡診療ガイドライン．日皮会誌 120：1443-1460，2010