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特集 治りにくい症状への対応
治りにくい唾液分泌異常
著者: 吉原俊雄1 山村幸江1 岡良和1
所属機関: 1東京女子医科大学耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.1013 - P.1017
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
日常診療において唾液分泌異常を訴える患者は少なくないが,その原因の究明・治療に際し,しばしばその対応に苦慮する。最も多い症状は口腔乾燥症状で,次いで唾液分泌過剰(流涎症)を訴える例,唾液自体に違和感を感じる例などさまざまである。口腔乾燥症状の内訳は,実際に唾液分泌低下を認める例,乾燥症状はあるが唾液分泌機能は保持されている例,また不定愁訴としての「のどの渇き感」,唾液の粘稠度や成分の変化によるもの,全身的な疾患の一症状としての乾燥感が挙げられる。一方,唾液分泌過多を訴えて受診する場合は,ストレスなど心因的な背景を有する例が多い。
本稿では,唾液分泌異常の実際と診断,治療について耳鼻咽喉科の立場から当科での経験をふまえ解説したい。
日常診療において唾液分泌異常を訴える患者は少なくないが,その原因の究明・治療に際し,しばしばその対応に苦慮する。最も多い症状は口腔乾燥症状で,次いで唾液分泌過剰(流涎症)を訴える例,唾液自体に違和感を感じる例などさまざまである。口腔乾燥症状の内訳は,実際に唾液分泌低下を認める例,乾燥症状はあるが唾液分泌機能は保持されている例,また不定愁訴としての「のどの渇き感」,唾液の粘稠度や成分の変化によるもの,全身的な疾患の一症状としての乾燥感が挙げられる。一方,唾液分泌過多を訴えて受診する場合は,ストレスなど心因的な背景を有する例が多い。
本稿では,唾液分泌異常の実際と診断,治療について耳鼻咽喉科の立場から当科での経験をふまえ解説したい。
参考文献
1)Bahn SL:Drug-related dental destruction. Oral Surg Oral Med Oral Pathol 33:49-54, 1972
2)厚生省特定疾患免疫疾患調査研究班:シェーグレン病診断基準.平成10年度研究報告書.1999,p135
3)森田 恵・他:ヒト耳下腺組織の加齢変化における組織学的ならびに三次元構築による検討.東女医大誌 43:393-401,1996
4)山村幸江:日常診療におけるドライマウスの取り扱い.口咽科 24:39-44,2011
5)Baumu BJ, et al:Biology of the salivary glands. CRC press, Florida, 1993, pp153-180
6)Adachi K, et al:Nizatidine and cisapride enhance salivary secretion in humans. Aliment Pharmacol Ther 16:297-301, 2002
7)Lourie RS:Rate of secretion of parotid glands in normal children. Am J Dis Child 65:455, 1943
8)吉原俊雄:流涎症・唾液分泌過多症の原因と治療.医事新報 3688:117-118,1994
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