耳鼻咽喉科・頭頸部外科83巻13号

2011年12月発行

原著

脳膿瘍をきたした側頭骨巨大コレステリン肉芽腫の1症例

著者： 間多祐輔¹ 植木雄司¹ 今野昭義¹ 後藤博美² 伊崎堅志² 北田友紀² 佐久間秀夫³

所属機関： ¹脳神経疾患研究所附属総合南東北病院耳鼻咽喉科 ²脳神経疾患研究所附属総合南東北病院脳神経外科 ³脳神経疾患研究所附属総合南東北病院病理診断科

ページ範囲：P.1031 - P.1034

文献概要

Ⅰ　はじめに

　コレステリン肉芽腫は，その発生部位より乳突腔を母地とする中耳コレステリン肉芽腫と錐体部に発生する錐体部コレステリン肉芽腫に大別される。中耳コレステリン肉芽腫はしばしば遭遇する疾患であるが，頭蓋内に進展することは稀である。今回われわれは，左乳突腔から発生し，頭蓋内に進展，2次的に脳膿瘍を形成した1症例を経験したので，若干の文献的考察を含めて報告する。

参考文献

1）Nager GT：Pathology of the ear and temporal bone. Williams and Wilkins, Baltimore, 1993

2）山本　裕・他：後頭蓋窩に進展した巨大コレステリン肉芽腫症例．JOHNS 26：1993-1996，2010

3）森田武志・他：頭蓋内に進展した中耳コレステリン肉芽腫．耳喉頭頸 78：1008-1009，2006

4）大森英生・他：頭蓋内に進展した巨大乳突洞囊腫の1例．耳鼻臨床 78（補）：89-93，1995

5）Martin TP, et al：A large and uncharacteristically aggressive cholesterol granuloma of the middle ear. J Laryngol Otol 119：1001-1003, 2005

6）藤田省二：実験的に孤立させた乳突蜂巣の組織学的変化に関する研究．日耳鼻 71：61-67，1968