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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科83巻13号

2011年12月発行

文献概要

原著

穿刺排膿による扁桃周囲膿瘍治療

著者: 竹中幸則1 武田和也2 喜井正士1 橋本典子2 猪原秀典1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 2近畿中央病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.1035 - P.1038

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Ⅰ はじめに

 扁桃周囲膿瘍は,口蓋扁桃周囲に生ずる膿瘍であり,急性扁桃炎,扁桃周囲炎が進行して生じる。降下性壊死性縦隔炎や縦隔膿瘍,敗血症などの致死的な疾患を続発することもあり1),早期に適切な治療を行う必要がある。扁桃周囲膿瘍の治療としては,排膿処置,抗菌薬による化学療法が必要であるが,これらの選択に関するガイドラインはわが国では存在しない。抗菌薬の選択に関しては海外のガイドラインに則って治療をしても支障がないことが示されている2)。排膿処置に関しては,近年,穿刺排膿の有用性が報告されている3)。当科では原則として穿刺排膿を選択しており,限られた症例のみ切開排膿を行っている。そこで,今回われわれは,穿刺排膿による治療の有効性を検討した。

参考文献

1)竹中幸則・他:どのような所見で深頸部膿瘍を疑うか?耳鼻咽喉科診療 私のミニマム・エッセンシャル,本庄 巌・他(編).全日本病院出版会,東京,2010,pp 238-240
2)竹中幸則・他:クリンダマイシン,穿刺排膿による扁桃周囲膿瘍治療 広域抗菌剤や多剤併用は必要なのか?耳鼻臨床 104:67-73,2011
3)Khayr W, et al:Management of peritonsillar abscess:needle aspiration versus incision and drainage versus tonsillectomy. Am J Ther 12:344-350, 2005
4)淵脇貴史・他:当科における扁桃周囲膿瘍の臨床的検討.日耳鼻感染誌 27:187-191,2009
5)鈴木立俊・他:扁桃周囲膿瘍の臨床経過.日耳鼻感染誌 25:65-68,2007
6)大島 収・他:当院における扁桃周囲膿瘍症例の検討.日耳鼻感染誌 25:59-63,2007
7)村上一索・他:扁桃周囲膿瘍から縦隔膿瘍を併発した一例.日耳鼻感染誌 2:177-180,2009
8)木村美和子・他:頸部外切開を要した深頸部膿瘍症例の臨床的検討.日気食会報 57:14-19,2006
9)市村恵一:深頸部感染症の臨床.耳鼻臨床 97:573-582,2004
10)西元謙吾:扁桃周囲膿瘍に対する膿瘍扁摘術 即時膿瘍扁摘術賛成の立場から.日耳鼻感染誌 25:195-199,2007
11)余田敬子:扁桃周囲膿瘍に対する膿瘍扁摘術(Conの立場).日耳鼻感染症誌 25:201-208,2007
12)Ophir D, et al:Peritonsillar abscess. A prospective evaluation of outpatient management by needle aspiration. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 114:661-663, 1988
13)Snow DG, et al:The management of peritonsillar sepsis by needle aspiration. Clin Otolaryngol Allied Sci 16:245-247, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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