耳鼻咽喉科・頭頸部外科83巻3号

2011年03月発行

目でみる耳鼻咽喉科

眼窩内に侵入した側頭下窩血管腫の1症例―異常眼球運動で発見された症例

著者： 西平茂樹¹ 金洋一¹

所属機関： ¹JA秋田厚生連雄勝中央病院耳鼻咽喉科

ページ範囲：P.185 - P.189

文献概要

Ⅰ．はじめに

　側頭下窩（infratemporal fossa）は頰骨弓の高さより下方で下顎骨内方に位置し，上顎洞および頰骨体部の後方で翼口蓋窩，副咽頭間隙と連続する解剖学的に定義された空隙であるが，臨床的には三者を厳密に区分けすることは困難である^1,2）。顔面深部で外方を骨で隔てられるため腫瘍性病変は相当な大きさに達しなければ外観上の変化をきたさず，また，臨床症状が初期から発現することも少ない部位であったため，従来からsilent area^3）と称されてきた。近年，CTやMRI検査で同部が鮮明に描出されるようになり，腫瘍性病変の発見は容易になった。今回，食事の際に左眼球が異常運動を繰り返したことで発見された側頭窩下血管腫の症例を経験した。症例を詳述して若干の文献的考察を加えた。

参考文献

1）有地淑子・他：側頭下窩における腫瘍性病変のCTによる分析．口科誌 39：267-277，1990

2）鹿野真人：側頭下窩手術のための臨床解剖．耳鼻咽喉科・頭頸部外科のための臨床解剖．耳鼻咽喉科診療プラクティス8，池田勝久・他（編），文光堂，東京，2002，pp83-85

3）Conley JJ：Tumors of the infratemporal fossa. Arch Otolaryngol 79：498-504, 1964

4）西村真紀子・他：側頭下窩より下眼窩裂を通り眼窩内への進入が疑われた脂肪腫の1例．日形会誌 25：217-221，2005

5）Johnson AT, et al：Extra-cranial tumors of the infratemporal fossa. J Laryngol Otol 96：1017-1026, 1982

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13）Maruyama Y, et al：Perfusion and blood-pool scintigraphy in the evaluation of Head and Neck hemangiomas. J Nucl Med 38：882-885, 1997