文献詳細
特集 耳鼻咽喉科専門研修をはじめる医師へ―疼痛への対応
癌性疼痛―頭頸部癌
著者: 下山直人1 尾澤芳子1 下山恵美2
所属機関: 1栃木県立がんセンター手術部 2帝京大学ちば総合医療センター麻酔科
ページ範囲:P.208 - P.212
文献概要
癌性疼痛に対するガイドラインとして,WHOが1986年に発表した癌疼痛治療指針1)(以下,WHO方式と略す)があり,モルヒネを中心としたオピオイドによる癌性疼痛マネジメントが現在でもスタンダードとなっている。WHO方式では,身体的な痛みだけを緩和するのではなく,心理的,社会的,スピリチュアルな痛みを含めた全人的な痛みの緩和の重要性が強調されている。頭頸部癌患者の痛みにおいては,その他の癌患者に比べ,外見の変貌,コミュニケーション障害,薬剤の投与経路の問題など,頭頸部癌患者特有の多くの複雑な問題もあり,それらが痛みの強さ,疼痛治療の困難さにも影響を与える可能性があり,全人的な痛みの緩和は特に重要である。本稿では一般的ながん疼痛マネジメント,頭頸部癌患者特有の痛み,治療上の問題点に対する対策を含めた緩和ケアの実践について述べる。
参考文献
掲載誌情報