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特集 特殊疾患への対応
アミロイドーシス
著者: 鈴木幹男1 喜友名朝則1
所属機関: 1琉球大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科
ページ範囲:P.283 - P.288
文献購入ページに移動Ⅰ.はじめに
アミロイドーシスは線維構造をもつアミロイド蛋白が組織に沈着する疾患で,1842年にRokitanskyが肝病変として初めてこの沈着物を記載している。その後1854年,Virchowは脳にみられた沈着物(アミロイド小体)がヨウ素澱粉反応を示したことから,この沈着物をセルロースであると考えラテン語で澱粉を意味するamylumやギリシャ語のamylonからアミロイド(amyloid)と命名した1)。さらに1859年にFriedreichとKekuleによりアミロイドが炭水化物ではなく蛋白であることが示された。現在ではアミロイドの主成分は微細線維状の蛋白であることが明かとなり,このアミロイド線維はクロスβシート構造をとることがわかってきた。
蛋白は特定の立体配座に自動的に折りたたまれ一定の構造をとる。このように蛋白が特定の3次元に折りたたまれる現象をフォールディングと呼び,蛋白はフォールディングされてはじめてその機能を果たすことが可能になる。近年,蛋白の立体構造異常(ミスフォールディング)による疾患は,コンフォーメーション病,あるいは蛋白フォールディング異常症と呼ばれるようになってきた2)。アミロイドーシスはコンフォーメーション病の一つで,細胞外に蛋白質が線維状に凝集し沈着する(アミロイド沈着)。アミロイドの沈着過程は,①前駆体蛋白の産生,②前駆体蛋白のアミロイド原性蛋白へのプロセッシング,③蛋白のミスフォールディングと凝集の3段階からなる。
アミロイドーシスの病理学的特徴では,細胞外の沈着物が,①コンゴレッド色素で染色され,偏光顕微鏡下で緑色偏光を呈すること,②電子顕微鏡観察で,幅80~100Å程度で枝分かれのない線維構造がみられることが報告されている1)。アミロイドが確認されれば免疫染色を行い,アミロイド蛋白を同定する。生化学的にはさまざまな蛋白がアミロイドとなりうることが知られており,アミロイドーシスとはこれらアミロイドが臓器や組織に沈着して機能障害を引き起こす疾患群である。
アミロイドーシスは線維構造をもつアミロイド蛋白が組織に沈着する疾患で,1842年にRokitanskyが肝病変として初めてこの沈着物を記載している。その後1854年,Virchowは脳にみられた沈着物(アミロイド小体)がヨウ素澱粉反応を示したことから,この沈着物をセルロースであると考えラテン語で澱粉を意味するamylumやギリシャ語のamylonからアミロイド(amyloid)と命名した1)。さらに1859年にFriedreichとKekuleによりアミロイドが炭水化物ではなく蛋白であることが示された。現在ではアミロイドの主成分は微細線維状の蛋白であることが明かとなり,このアミロイド線維はクロスβシート構造をとることがわかってきた。
蛋白は特定の立体配座に自動的に折りたたまれ一定の構造をとる。このように蛋白が特定の3次元に折りたたまれる現象をフォールディングと呼び,蛋白はフォールディングされてはじめてその機能を果たすことが可能になる。近年,蛋白の立体構造異常(ミスフォールディング)による疾患は,コンフォーメーション病,あるいは蛋白フォールディング異常症と呼ばれるようになってきた2)。アミロイドーシスはコンフォーメーション病の一つで,細胞外に蛋白質が線維状に凝集し沈着する(アミロイド沈着)。アミロイドの沈着過程は,①前駆体蛋白の産生,②前駆体蛋白のアミロイド原性蛋白へのプロセッシング,③蛋白のミスフォールディングと凝集の3段階からなる。
アミロイドーシスの病理学的特徴では,細胞外の沈着物が,①コンゴレッド色素で染色され,偏光顕微鏡下で緑色偏光を呈すること,②電子顕微鏡観察で,幅80~100Å程度で枝分かれのない線維構造がみられることが報告されている1)。アミロイドが確認されれば免疫染色を行い,アミロイド蛋白を同定する。生化学的にはさまざまな蛋白がアミロイドとなりうることが知られており,アミロイドーシスとはこれらアミロイドが臓器や組織に沈着して機能障害を引き起こす疾患群である。
参考文献
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