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文献概要
特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター Ⅱ.病原体をマスターする 1.細菌・原虫感染症
4)インフルエンザ桿菌
著者: 菅原一真1 山下裕司1
所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学分野
ページ範囲:P.88 - P.90
文献購入ページに移動Ⅰ 一般的特徴(疫学,分類など)
1889年,1890年のインフルエンザの世界的大流行の際,患者の咽頭から分離され,1892年,Richard Pfeifferが同定したのが最初とされる。当初はインフルエンザの病原体として報告されたが,後にインフルエンザの病原体がインフルエンザウイルスであることが明らかにされたため,発見の歴史をその名に残し,インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae )と命名された。
インフルエンザ菌はそのポリサッカライド莢膜多糖体の抗原性より,6つの血清型(a~f)に分類される。また,ポリサッカライド抗原をもたない株は無莢膜型(nontypable)と呼ばれ,分離頻度は最も高い。臨床的に重要となるのはtype b(Hib)と無莢膜型とされる。また,生物学的性状(インドール産生性,ウレアーゼ産生性,オルニチン脱炭酸能)による生物型別の分類では,Ⅰ型~Ⅷ型の8種類に分類される。Hibの大部分はⅠ型であり,無莢膜型の大部分はⅡ,Ⅲ型に分類される1)。
1889年,1890年のインフルエンザの世界的大流行の際,患者の咽頭から分離され,1892年,Richard Pfeifferが同定したのが最初とされる。当初はインフルエンザの病原体として報告されたが,後にインフルエンザの病原体がインフルエンザウイルスであることが明らかにされたため,発見の歴史をその名に残し,インフルエンザ菌(
インフルエンザ菌はそのポリサッカライド莢膜多糖体の抗原性より,6つの血清型(a~f)に分類される。また,ポリサッカライド抗原をもたない株は無莢膜型(nontypable)と呼ばれ,分離頻度は最も高い。臨床的に重要となるのはtype b(Hib)と無莢膜型とされる。また,生物学的性状(インドール産生性,ウレアーゼ産生性,オルニチン脱炭酸能)による生物型別の分類では,Ⅰ型~Ⅷ型の8種類に分類される。Hibの大部分はⅠ型であり,無莢膜型の大部分はⅡ,Ⅲ型に分類される1)。
参考文献
1)大石和徳:インフルエンザ菌.病原菌の今日的意味,松本慶蔵(編).医薬ジャーナル,大阪,2003,pp353-363
2)糸山泰人・他:日本神経治療学会治療ガイドライン―細菌性髄膜炎の診療ガイドライン.神経治療学 24:71-132,2007
3)宇都宮嘉明・他:インフルエンザ菌性肺炎.化療の領域 12:339-344,1996
4)鈴木賢二:微生物側の要因 細菌 4)インフルエンザ菌.野村恭也(編).中山書店,東京,2000,pp41-44
5)生方公子:耐性インフルエンザ菌.医のあゆみ 209:525,2004
6)菅原一真・他:小児急性中耳炎ガイドラインに基づく抗菌薬の使用と起炎菌の変化.耳鼻咽喉科感染症 27:85-87,2009
7)矢野寿一:インフルエンザ菌感染症.公衆衛生 74:19-21,2010
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