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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科83巻5号

2011年04月発行

文献概要

特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター Ⅱ.病原体をマスターする 1.細菌・原虫感染症

8)ジフテリア菌

著者: 田村悦代1

所属機関: 1東海大学付属八王子病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.109 - P.112

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Ⅰ 疫学

 1948年予防接種法の制定とともに,ジフテリアトキソイドが導入され,1958年には百日咳との混合ワクチンが,1964年には百日咳ジフテリア破傷風混合ワクチンなどが使用され,ジフテリアの予防に効果を挙げてきた。しかし,一方では近年,ジフテリア患者は激減し,図1に示されるように年間数例が散発的に報告されるだけである。したがって,各医療機関では,ジフテリア患者に遭遇する機会が減り,ジフテリア患者を診察した経験のある医師がほとんどいないことから,適切な診断を早期に行うことが困難となっている。また,細菌学や血清学的診断に必要な知識をもった技術者や選択培地が配置されている検査機関がきわめて少なくなり,診断の遅れが医療現場での早期治療の障害となることが懸念される1)

 1994年に施行された感染症法では,二類感染症に分類され,診断医師の届出が義務付けられている2)。ジフテリアもしくは病原体保有者であると診断した医師は,直ちに最寄りの保健所に届け出る。患者は原則として第二種感染症指定医療機関に入院となるが,無症状者は入院の対象とはならない。また,ジフテリアには疑似症の適用はない。

参考文献

1)ジフテリア予防対策マニュアル.国立感染症研究所感染情報センター(http://idsc.nih.go.jp/disease/diphtheria/manual.html)
2)西渕光昭:細菌毒素あれこれ.化学と生物 39:448-453,2001
3)相楽裕子:新しい感染症法とその骨子.日内会誌 96:145-151,2005
4)感染症の話.国立感染症研究所感染症発生動向調査週報(IDWR)2002年第14週号(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_14/k02_14.html)
感染による急性鼻咽頭炎を呈した1例.国立感染症研究所病原微生物検出情報月報 30:188-189,2009(http://idsc.nih.go.jp/iasr/30/353/inx353-j.html)
の保菌調査状況国立感染症研究所病原微生物検出情報月報 27:339-340,2006(http://idsc.nih.go.jp/iasr/27/322/graph/dt3221.html)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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