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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科83巻5号

2011年04月発行

文献概要

特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター Ⅲ.診断・治療をマスターする

4.乳様突起炎

著者: 泰地秀信1

所属機関: 1国立成育医療研究センター外科系専門診療部耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.235 - P.239

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Ⅰ 病因・病態

 急性乳様突起炎は急性中耳炎の炎症が乳突洞,乳突蜂巣に波及したもので,2歳以下の乳幼児に多い。抗菌薬が広く使用されるようになって発症は少なくなったとされていたが,近年は再度増加しているとした報告もある1)。急性乳様突起炎が増加している理由として薬剤耐性菌の増加や起炎菌の病原性が強くなったことなどが推測されている。

 鼓室と乳突洞は乳突洞口でつながっているので,急性中耳炎では鼓室から乳突洞・乳突蜂巣へと膿が進展するが,中耳炎が軽快するとともに乳突蜂巣の滲出液は通常消退する2)。しかし,重症の急性中耳炎で乳突洞口が粘膜肥厚や肉芽により閉塞すると,乳突蜂巣内の膿は排出されなくなり,細菌が増殖して乳突蜂巣の骨炎および乳様突起の骨膜炎を生じる(急性乳様突起炎の初期)。次の段階では肉芽の増生から骨の破壊へと進み,壊死を起こし,蜂巣隔壁が融解して乳突部に膿瘍を形成する2)。さらに進行すると膿瘍が外側に破れて骨膜下膿瘍となり,乳様突起部皮膚の発赤と耳後部の腫脹が生じる。また胸鎖乳突筋内面に沿って膿瘍が流れると乳様突起先端下方が膨隆する(Bezold膿瘍)。

参考文献

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10)Ho D, et al:The relationship between acute mastoiditis and antibiotic use for acute otitis media in children. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 134:45-48, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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