頭頸部癌治療におけるエコーガイド下上腕末梢穿刺中心静脈カテーテルの有用性
著者:
鈴木淳
,
加藤健吾
,
東賢二郎
,
大島英敏
,
小川武則
,
鈴木貴博
,
志賀清人
,
小林俊光
ページ範囲:P.517 - P.522
Ⅰ はじめに
頭頸部再建手術におけるカテコラミンなどの投与や術後栄養管理,化学放射線療法における化学療法剤投与ルートや栄養管理など,頭頸部癌の治療において中心静脈カテーテル(central venous catheter:CVC)を要する機会は多い。
近年,CVC穿刺に伴う気胸や心タンポナーデなどの重篤な合併症が問題となっており1),より安全性の高い手法が求められている。末梢穿刺中心静脈カテーテル(peripheral inserted central venous catheter:PICC)は,通常肘窩の表在静脈を穿刺してカテーテル先端を上大静脈に留置するCVCであるが2),穿刺に伴う重篤な合併症がごく少ない安全な方法であり,わが国でも有効性の報告が散見される3~5)。しかしながら,認知度の低さに加え5),肘部の血管が細い症例では挿入が困難であり,肘を曲げた際の滴下不良,静脈炎の発生などの問題1,6)もあり,わが国での普及はあまり進んでいない。
これらの問題を解決する手法として,エコーガイド下(ultrasonography-guided)に上腕の静脈を穿刺してPICCを挿入する方法(以下,UG-上腕PICCと省略)が注目されている1,6)。当科では2010年1月より頭頸部癌の治療にUG-上腕PICCを導入し,CVCの第一選択としている。今回われわれは頭頸部癌治療におけるUG-上腕PICCの有用性について検討するとともに,若手耳鼻咽喉科医を対象にCVC留置に関するアンケートを行ったので,その結果を報告する。