耳鼻咽喉科・頭頸部外科83巻7号

2011年06月発行

原著

側頸部に発生した石灰化上皮腫の1例

著者： 馬場優¹² 小川裕介¹² 小川郁²

所属機関： ¹大田原赤十字病院耳鼻咽喉科 ²慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科

ページ範囲：P.503 - P.505

文献概要

Ⅰ　はじめに

　石灰化上皮腫は1880年，Malherbeら^1）により初めて報告された，毛母細胞由来の良性腫瘍である^2）。その好発部位は頭頸部領域や上肢である。治療は主として皮膚科領域で扱われており，耳鼻咽喉科領域での報告は少ない。

　今回われわれは右側頸部に発生し，悪性疾患と鑑別が必要であった石灰化上皮腫の1症例を経験したので，若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1）Malherbe A, et al：Note sur I' epithekiome calcifie des glandes sebacees. Progr Med de Paris 8：826-828, 1880

2）Thurhan B, et al：Bemerkungen uber die sogenannten verkalkenden Epitheliome der Haut und ihre Genese. Dermatologica 85：73-91, 1942

3）小山　悟・他：側頸部に認められた石灰化上皮腫の2症例．耳鼻臨床 89：731-736，1996

4）清水啓成・他：頬部に発生した石灰化上皮腫の1例．耳喉頭頸 71：115-118，1999

5）小野田惠子・他：耳前部に生じた石灰化上皮腫．目耳鼻 102：19-26，1999

6）Wood MG, et al：Malignant pilomatricoma. Arch Dermatol 120：770-773, 1984

7）Mendes Neto JA, et al：Pilomatrixoma in the head and neck. Braz J Otorhinolaryngol 75：618, 2009